† こういう時はありがとうって言ったほうがいいのかな? †
「さん」
「ん?」
「もうすぐ鎌倉に着きますよ」
「わぁーすごい、流石熊野の船だね」
「お褒めに与り光栄だね、姫君」
「んーでも、ちょっとマズイ感じ?」
「ですね」
船が近づくにつれて見える人影。
所謂、待ち伏せ状態?
こっちの人数は・・・
望美ちゃん、朔ちゃん、白龍、将臣、九郎、ヒノエ、弁慶、譲、敦盛、リズ先生、銀、知盛、私。
・・・・・・少ないね。
13人であの兵士の数を相手しろと?
「敵さん、ズルイ」
「さん・・・」
「とりあえず、話し合い希望」
「そう巧く行くかどうかわかりませんよ?」
「巧く行く、行かせるの。みんなの力で・・・ね?」
一人の力じゃどうにもならないかもしれない。
でも、一人じゃない。
みんながいる。
だから・・・きっと何とかなる。
私はそう信じたい。
「皆サーン!こんにちは!!」
「、お前何をしている・・・!?」
「何って・・・挨拶」
「九郎様だ!神子様も!様もいらっしゃる!!」
「・・・・・・なんか反応が可笑しくない?」
弓部隊に弓を向けられることもない。
斬りかかって来ることもない。
「九郎様!どうかお進み下さい!!」
「何・・・だと?」
「熊野別当様より話をお聞きいたしました!!」
「ヒノエ?何したの?」
「俺はただ、本当のことを言ったまでさ」
「本当のこと?」
「あぁ、今までの勝利の理由をね」
「・・・・・・」
「みんな、お前達に助けられてきたってことさ」
「・・・・・・」
「姫君、俺のしたことは間違っていたかな?」
「間違ってない、もう・・・十分すぎるよ・・・!!!」
ここにいる兵たちは敵じゃない。
「我等は共に行くことは出来ません、ですが・・・!!」
「どうか、お進み下さい!!」
「九郎様、あなたのお力を信じております!!」
「お前達・・・」
九郎の実力だよね。
ヒノエの助言もあったけど・・・
一番はきっと、九郎の実力。
「九郎、行かせてもらおう。みんなの気持ち無駄にしちゃダメ」
「あぁ・・・進むぞ!!」
◇◇◇
「どうか、ご無事で・・・!!!」
風に乗って、そんな言葉が耳を掠めた。
またひとつ、希望の欠片が増えた瞬間。
† こういう時はありがとうって言ったほうがいいのかな? †
(本当にありがとう。)
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