† 俺の心もやっと晴れた †










「あーリズ先生」




リズ先生発見。

一瞬綺麗に闇に紛れていてわからなかったけど・・・




「眠れないのか?」


「はい、さっぱりです。緊張してるのかな・・・」




とりあえず、一人じゃないてことは決定した。

知盛と銀は一緒に行ってくれるみたいだし・・・




「怖いか?」


「・・・・・・怖い、ですね」


「・・・・・・」


「知盛と銀は一緒に行ってくれるみたいなんです。でも・・・それもどうなるかわからないじゃないですか」




明日のことなんて決まってない。

何が起こるかなんてわからない。

約束が違えられても仕方がないことだってある。







「はい」


「お前は、お前が思う道を進むがいい」


「・・・はい、リズ先生」


「この先何があろうとも、神子がいる、八葉がいる、お前を信じるものがいる。それを忘れないように」


「・・・はい!」




やっぱり先生の言葉を重みがある。

そして、なんだろう・・・勇気付けられた感じ。




「先生、運命は変えられますよね?」


「あぁ、お前ならば・・・」


「リズ先生はこの運命をご存知でしたか?」


「いや・・・初めて見る、運命だ」


「そうですか、じゃあ・・・本当にどうなるかわかりませんね」




沢山の運命を見てきたリズ先生も知らない運命。

私が見て来たたくさんの運命を重ねた運命。

いい方向に進めばいいと思う。




「ありがとうございます、リズ先生」


「礼は必要ない」


「でも、やっぱり・・・ありがとうございます」


「・・・・・・九郎、出てきなさい」


「先生・・・気付いていらっしゃったのですね」




・・・・・・茂みに九郎の姿発見。

気付きませんでした・・・




「九郎ー?どうしたのー?」


「いや・・・」


「九郎、言いたいことがるのならば・・・」


「先生・・・俺に稽古をつけていただけませんか?」


「九郎?」


「俺は・・・と共に鎌倉へ行きます。だから・・・そのために最後の稽古を・・・!」


「九郎の決断はわかった・・・だが、私よりも適任が今日はいる」


「適任・・・ですか」




・・・・・・誰?!

リズ先生よりも適任なんていないと思うんですけど・・・







「は、はい!」


「九郎の相手を」


「わ、私ですか?!」


「先生?!」


「九郎、の剣を感じてみなさい」


「はい、先生。・・・頼む」


「は、はぁ・・・」




















◇◇◇




















「お前の剣の師は誰だ?」


「ん、平知盛と平重盛」


「何だと?!」




・・・どうして其処で驚くかなぁ・・・

重盛ってところで驚いてるの?!

やっぱりここは素直に将臣って言うべきだった・・・?




「一体いつのまに・・・」


「熊野で」


「熊野だと?!」


「そう、熊野。将臣と一緒に来てた時にね。あっちなみに重盛って将臣だから」


「・・・・・・」


「だから私のお師匠様は・・・知盛と将臣だよ」


「そう、なのか・・・」


「ねぇ、九郎。本当に鎌倉に行くつもりなの?」


「あぁ」


「そっか・・・」




鎌倉に行くんだ、九郎。

そうだよね、九郎だもんね。

でも、九郎は知らない。

鎌倉殿が加護を受ける神の存在を・・・




「なんだ、俺が共に行くことに不満でもあるのか?」


「んー別に」




不満なんてない。

寧ろ大歓迎だけど・・・




「ただ、話し合い前提だけど・・・鎌倉殿と戦うことになるかもしれないよ」


「あぁ・・・わかっている」


「そっか・・・」




九郎の決意もきっと揺るがない。

九郎も強い人だから。

だから、私もこれ以上何も言わない。

言ってはいけない。




「じゃあ・・・お相手お願いします、九郎!」


「あぁ、こちらこそ頼む」




















◇◇◇





















剣の重なり合う音。

九郎の剣は重くて、ひとつひとつの動きが綺麗。

だから、受け止めるのが精一杯で・・・

隙を見せたらすぐに、やられてしまいそうな勢い。




「九郎、その辺りにしておきなさい」


「はい、先生」


「助かったぁ・・・リズ先生、ありがとうございます」


・・・やはり知盛殿と将臣が剣の師だけのことはある」


「あはは・・・でもまだまだだよ」




剣を交えて多分、そんなに時間は経っていない。

それなのに、私の身体は限界で・・・

リズ先生が止めてくれなかったらやばかったね。




「もう夜も遅い、二人とも休みなさい」


「あっはーい」


「はい」




もう望美ちゃんも朔ちゃんも眠っちゃってるよね。

今戻ったら起こしちゃう気が・・・

うーん・・・どうしよう?

まぁ・・・為すようにしかならないよね。

とりあえず、高館までの道のりで考えよう。










† 俺の心もやっと晴れた †

(九郎、なんか清清しい顔してるなぁー。)



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