† 誰よりも気高く、誰よりも強く、そして誰よりも美しかった †
「望美、眠れないの?」
「・・・朔・・・」
「お茶を淹れたの、あなたもどう?」
「あっ・・・うん、頂きます」
私はどうすればいいんだろう。
さんは言った。
明朝、鎌倉へ行くと・・・
あの時は私も一緒に行くって思っていたけど・・・
今では本当に私も一緒に行ってもいいのかなって思える。
「望美?」
「あっごめん、朔」
「いいのよ、あなたの考えていることわかるもの・・・」
「朔は・・・どうするの?」
「私は・・・」
朔だって、本当は行きたくないんじゃないかって思う。
だって・・・もしかしたら景時さんに逢っちゃうかもしれないし・・・
「私は、鎌倉へ行くわ」
「え?」
「ふふ、兄上に逢うかもしれないと心配してくれているのね」
「・・・・・・」
「例え兄上に逢うことになっても・・・私は鎌倉に行こうと思うわ」
「朔・・・」
「望美は、どうするの?」
・・・・・・私はどうすればいいんだろう。
鎌倉に行くのは正直、怖い。
私はさんみたいに強くない・・・
「私は・・・行ってもいいのかな」
「望美?」
「平泉の呪詛が全て祓われて、白龍の力は戻って、私も力が戻った」
「えぇ・・・」
「でも・・・私はさんみたいに強くないよ・・・」
「望美、違うわ」
「え?」
「さんは決して強いわけじゃないの」
「・・・・・・」
「確かに、さんは強く見えるわね、私もそう思っていたわ」
「・・・・・・」
「でも、さんは人一番弱い方なのよ」
「さんが弱い・・・?」
そんなことない。
さんは強い。
強いから・・・沢山の行動を起こせる。
「そう、さんは強く、そして弱い方なのよ」
「・・・・・・」
「望美と一緒ね」
「私と一緒?」
「そう、一緒なのよ。望美とさんはとてもよく似ているわ」
「似てるの・・・?」
「本当によく似ているわ。きっとみんなもそう言うわね」
「・・・・・・」
私とさんが似ている?
似てるの・・・かな。
「望美、大丈夫よ」
「朔・・・」
「鎌倉に行くのも行かないのも望美が決めればいいことよ」
「・・・・・・うん」
「最も・・・あなたが一緒に行ってくれると私も心強いわ。あなたは私の対だから・・・」
「ありがとう、朔」
決めた。
私がどうすればいいかなんて・・・本当は最初から決まってたんだ。
朔が背中を押してくれたから、それが本当の決断になった。
「私も決めたよ、自分の進む道」
† 誰よりも気高く、誰よりも強く、そして誰よりも美しかった †
(私は鎌倉に行く。これが私が選んだ道。)
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