† 紡がれる言葉達 †
「銀」
「はい、泰衡様」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何故、呪詛が消えた?」
「・・・・・・様のお陰にございます」
「そうか」
「私は全てを思い出すことが出来ました」
「全てだと・・・?」
「はい、私が何者であるか・・・そして、様との本当の出逢いを・・・」
「ほう・・・ではお前は何者だ?」
「私は・・・平家の将、平重衡でありました」
「なるほど・・・な」
「様とは平家がまだ六波羅に居を構えていた頃に出逢いました」
「・・・・・・そうか」
「泰衡様」
「何だ?」
「私は、様と共に鎌倉へ行きます」
「あぁ・・・わかっている」
「泰衡様はどうなされるのですか?」
「俺は平泉に残るさ・・・」
「・・・・・・」
「殿たちが鎌倉に向かうのは構わん、だが・・・平泉に鎌倉の軍が迫っているのもまた事実」
「・・・・・・」
「俺は平泉を守る。だから・・・殿はお前が守れ」
「はい、泰衡様」
「お邪魔しまーす」
「様?」
あ、見事に泰衡と銀が談笑中。
うわぁ・・・邪魔しちゃったかな?
「うん、ちょっとごめんね」
「いえ・・・」
「如何なさいましたか?殿」
「ちょっと泰衡に相談。いい?」
「・・・構いませんよ」
「泰衡はやっぱり平泉だよね?」
「えぇ、こちらの防衛に努めさせていただきますよ」
「ん、そうしてくれると助かる」
何人こっちに残ることになるかはわからないけど・・・
平泉の防衛も間違いなく必要。
だって・・・鎌倉の軍勢ももう間近に迫ってきているから。
「鎌倉に根づく神は如何なされるおつもりで?」
「とりあえず、平泉を本格的に攻めてくる前に片付けたいと思ってる」
平泉を政子さん、荼吉尼天自身が滅ぼそうとする前に・・・
鎌倉入りして、誘き寄せる。
これくらいしか思いつかないんだよね・・・
「でも、もしちょっと間に合わなかったら・・・ごめんね」
正直、微妙に自信ない。
荼吉尼天がいつ動いてくれるかも・・・
鎌倉までどれくらいで到着できるかも微妙だし。
「平泉のことは平泉を一番よくわかってる泰衡に任せるね」
「俺が一番よくわかっている・・・?」
「そう、一番平泉のことわかってて、思ってるのは泰衡だよ」
「・・・一番に思っていらっしゃるのは我が父だ」
「でも泰衡も御館と同じくらい平泉を愛してるよ」
「殿・・・」
† 紡がれる言葉達 †
(知ってるんだよ。あなたが平泉のこと大切に思ってること。)
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