† 信じてる、何があっても †
「じゃあ私がいれば、変わるのかな?」
泰衡さんとの言い合いを制する声。
それは、紛れもなくさんの声で・・・
「泰衡、鎌倉は滅ぼさせないよ」
その姿は紛れもなくさんで・・・
「さん!!」
「ただいま、望美ちゃん。ちょっと遅くなっちゃったね」
いつも通りのさんの笑顔。
「・・・・・・ご無事、だったのですか・・・」
「お陰様でね」
「・・・・・・」
何となく、本当に何となくだけど・・・
泰衡さんが安堵したような顔をしているような気がする。
「ちゃんと銀も一緒だよ」
「・・・・・・そのようですね」
さんの後ろから現れるのは銀で・・・
怪我なんて全くしていないように思える。
崖から落ちたって泰衡さんは言っていたのに・・・
「・・・・・・・本物か?」
「なぁにー?将臣。私が幽霊にでも見える?」
「いや・・・そうじゃなくてな」
「まぁ色々あったのよ。後で説明する」
「そっか、とりあえず・・・知盛!」
「・・・何だ?」
「もう逃げれないぜ?」
「クッ・・・そのようだな」
「知盛、逃げるつもりだったんだ?」
「逃げるつもりなど、ないさ・・・」
「だって将臣が言ってるじゃん」
「言葉のあや・・・のようなものだ」
「まぁ・・・逃げないならそれでいいよ」
「宴を開くのであろう?」
「そう、知盛の好きそうな宴を開いてあげる」
「鎌倉でも侵略するつもりですか?さん」
「ん、そのつもり」
「何だと?!」
「あー九郎、侵略って言い方は悪いね、鎌倉に話し合いに行こうと思ってるの」
突然でごめんね、なんてさんは笑ってた。
本当に突然だよ・・・さん。
さっきはさんが死んじゃったのかと思わされたし・・・
次にこの話。
「というわけだから、泰衡」
「・・・・・・」
「私は・・・私たちは鎌倉に行く」
「・・・そうなるでしょうね」
「私は選んだよ。泰衡、あなたはどうするの?」
「・・・・・・俺は、あなたの力を諦めるつもりはない」
「そう、うん。別にそれでもいいよ」
「だが・・・あなたを止めるつもりもない」
「止めないの?」
「えぇ、止めても無駄でしょうから」
「よくわかってるね、泰衡」
「平泉の運命もあなたに懸けてみることにしますよ、殿」
「うわぁー責任重大じゃん」
「銀」
「はい、泰衡様」
「お前も共に行き・・・神子殿と殿をお守りしろ」
「はい」
「えっとー明日の明朝、鎌倉へ向かいます。一緒に行く人は明朝、伽羅御所に来てね」
† 信じてる、何があっても †
(やっぱりさんはすごい人・・・)
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