†　運命という鎖は、何処までも私達を巻き込むだろう　†










｢・・・泰衡・・・｣


｢泰衡様・・・｣




やっぱり、この運命も変わらない。

高館に着く前に、泰衡との遭遇。




｢泰衡、通して｣


｢何故？｣


｢何故って・・・決まってるでしょ。高館に行くの｣


｢殿、あなたはご存知でしたか？｣


｢え？｣


｢この平泉に根付く最後の呪詛を・・・｣


｢うん、知ってるよ｣


｢様・・・｣


｢それでも尚、呪詛と共に高館へ行くと申しますか？｣


｢そうね・・・行くわ。泰衡、あなたに殺させはしない｣


｢・・・・・・｣


｢神子殿や・・・あなた自身も呪詛に犯されるとしても？｣


｢それでも・・・私も望美ちゃんも彼の死を望まない｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・クッ・・・やはりあなたも甘い｣


｢甘くて結構｣


｢・・・・・・｣


｢泰衡。私は鎌倉へ行く｣


｢鎌倉へ？｣


｢そう、鎌倉殿と話をつけに行くわ｣


｢愚かだな・・・あなたも、九郎も｣


｢言ったでしょう？愚かじゃないって。鎌倉に行くことが私たちの運命｣




運命よ、これが。

鎌倉と平泉の関係。

和議が結べる可能性も考えて、私は鎌倉へ行く。




｢銀｣


｢はい、泰衡様｣


｢お前はどうするつもりだ？｣


｢私は・・・｣


｢・・・・・・｣


｢私は様をお守りします｣


｢その身に刻まれる紋様が何を意味しているかを知ったとしてもか？｣


｢・・・・・・｣


｢最後の呪詛は・・・銀、お前だ｣


｢・・・泰衡様・・・｣


｢お前が存在する限り・・・平泉の龍脈は穢され続ける｣


｢・・・はい｣


｢お前が守るという殿を穢すやもしれぬ｣


｢・・・・・・｣


｢自らがなさなければならぬこと、わかるな？｣


｢・・・泰衡様がそう望むのでしたら｣


｢ちょっと！泰衡？！｣


｢殿、あなたには黙っていて頂こうか｣


｢な、・・・？！｣




・・・声が、出ない？

声を封じられた？！




｢様？！｣


｢なに・・・声を封じさせて頂いただけだ・・・｣


｢・・・・・・泰衡様｣


｢何だ？｣


｢様の身の安全の保障はしていただけますか？｣


｢あぁ・・・殿はこの平泉にはなくてはならぬお方だ。丁重にもてなさせて頂く・・・｣


｢様｣


｢・・・・・・｣


｢ありがとうございました｣


｢・・・・・・｣


｢あなたに再びお逢いできて・・・私は天にも昇る気持ちです｣


｢・・・・・・｣


｢私の・・・桜月の君・・・｣










†　運命という鎖は、何処までも私達を巻き込むだろう　†

(いや、ダメ、ダメだよ！そんなの幸せじゃない！！！)

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