†　ねえ、お願い！私を助けると思ってさあ　†










｢御館ー｣


｢おぉ、殿よく参った｣


｢早速ですが・・・鎌倉からの書状の内容教えてもらえますか？｣


｢そうか・・・ご存知じゃったか｣


｢はい、景時から教えてもらいました。・・・夢の中で｣


｢・・・・・・鎌倉殿は殿を渡すように言っておる｣


｢・・・・・・私をですか？｣


｢うむ｣




鎌倉殿のご意向さっぱり。

私を鎌倉に入れて何の意味があるのかな？




｢殿を渡せば平泉との戦を起こさないと｣


｢それ、本当ですか？｣




つまり・・・うまく行けば戦が始まることもない？

この平泉が戦場になることも・・・




｢じゃあ私、鎌倉に行かなくちゃですね｣


｢いや・・・殿を鎌倉に渡すつもりはない｣


｢どうしてですか？戦が起こらなくてすむならそれに越したことはないじゃないですか｣


｢・・・・・・｣


｢それとも・・・鎌倉の頼朝がまだ思惑を潜めているということでしょうか｣


｢その可能性は高いでしょうな｣


｢うーん・・・じゃあまず頼朝に書状を送ってみます｣




あっでも・・・私、草書体書けないよ？

これじゃあ書状は送れない・・・？！




｢と言いましても・・・私じゃ書けないので・・・｣




そうだ！こういう時こそ・・・従者を使わなくちゃね！！




｢知盛に書かせます｣




知盛なら全然そういうのＯＫだろうし・・・

貴族様だから手紙書くのも得意だよね、絶対。




｢・・・・・・｣


｢ダメですかねぇ？御館｣


｢殿、そなたが一人犠牲になる必要はないんじゃぞ｣


｢犠牲になるつもりはありませんよー｣




そう、犠牲になるなんて思ってない。

でも・・・もしも私一人の命で戦が終わるならちょっと考えちゃうなぁ・・・




｢そういうわけで、御館。失礼しますね｣


｢殿・・・｣




















◇◇◇





















｢知盛ーいる？｣


｢・・・何だ・・・？｣


｢うわぁ・・・寝起きだ。めっちゃ不機嫌？｣


｢あぁ・・・不機嫌だな・・・｣


｢じゃあもう一つ不機嫌のもと増やしてあげる。手紙書いて？｣


｢・・・誰にだ？｣


｢頼朝に｣


｢正気か？｣


｢正気だよー正気。あっ別に恋文じゃないよー｣


｢それはわかっている｣


｢あはは・・・というわけで頼朝の思惑をちゃんと教えていただけないと鎌倉には行けませんって書いて？｣


｢・・・鎌倉に行くのか？｣


｢うーん・・・どうだろうね？とりあえず知盛に書いてもらって、頼朝からの返事によるかな？｣










†　ねえ、お願い！私を助けると思ってさあ　†

(てか、知盛が書いた手紙がいきなり来たら頼朝もびっくり？)

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