† 雫が頬を伝うのを、止めることが出来なかった †
「おはようございます、さん」
「あっおはよー朔ちゃん」
そうだ、夢で景時に逢ったこと・・・
朔ちゃんには話してあげるほうがいいよね。
朔ちゃんも、景時のことを心配してるし・・・
「景時に逢ったよ」
「え?」
「夢で、景時に逢ったの」
「そうですか・・・兄上に・・・」
「朔ちゃん、景時は大丈夫だよ」
「・・・・・・。」
「生きている限り、また逢える。それじゃ・・・ダメかな」
「兄上とさんが夢で逢えた理由がわかる気がしますわ」
「え?」
「ありがとうございます、さん」
「朔ちゃん?」
「兄上も・・・例え夢でもあなたと逢えて喜んでいると思います」
「そうだと、嬉しいね」
景時にも一応、嬉しいという言葉はもらったけど・・・
妹である朔ちゃんからももらえると更に嬉しいものになるね。
「私に出来なかったこと、やっぱりあなたなら成し得ることが出来るのですね」
「え?朔ちゃん?」
「私も・・・願ったの、兄上と夢でもいいから逢えることを・・・」
「・・・うん」
「でも、逢うことは出来なかったわ」
「・・・それは、きっと・・・私と朔ちゃんは違うからだね」
「・・・えぇ。そうね」
「朔ちゃんは景時の妹だもん。やっぱり、今の状況では逢えないよね」
「・・・・・・」
「でも、私は言い方は悪いかもしれないけど・・・他人だもん」
血の繋がりも、八葉の繋がりもない。
だから、嫌な言い方をすれば他人。
でも、だからこそ・・・逢えるってこともあるよね。
「さん、それは・・・」
「ね、朔ちゃん。景時のこと今でも大好きでしょう?」
「えぇ・・・兄上は私の兄上ですもの」
「その気持ちが、想いがあれば・・・運命は明るい道へと続くよ」
明るく考えればそれだけ、明るい道へと繋がる。
これは私の勝手な考えかもしれないけど・・・
でも、きっとそうなんだと思う。
前を向いて歩いて行くことが、光を求めて歩いて行くことが大切なことだから・・・
「・・・そうね、さん。ありがとうございます」
「どうして、ありがとう?」
「あなたの言葉を聞いて、安心できましたから」
「・・・そっか、それなら良かった」
「教えてくれて、ありがとうございます・・・さん」
「どう致しまして。これからも一緒に頑張ろうね」
「えぇ。一緒に頑張りましょう」
† 雫が頬を伝うのを、止めることが出来なかった †
(朔ちゃんも景時も・・・また前みたいに戻れるように、私も頑張るから。)
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