† 今歩いてるのがどんな道だろうと、私は進まなくちゃいけない †










「さぁーって、行っちゃいますか」


さん、どこに行くんですかー?」


「伽羅御所」


「え?」




伽羅御所って確か・・・秀衡さんと泰衡さんがいるところだよね?

さん、何をしに行くんだろう・・・




「ちょっと泰衡に逢いにね」


「泰衡さんに・・・」


「そう、逢いに行っちゃうんだー」


「・・・・・・」


「ん?望美ちゃん?どうしたの?」


「ううん、何でもないです!」


「そろそろ銀が来るかなぁー」


「銀が?」


「そうだよー銀が来ないと伽羅御所に行けないしー」




さんはすごいと思う。

私なんてまだ全然平泉に慣れてないのに・・・

さんはもうこの地に慣れちゃってる。




「望美ちゃんは調子はどう?」


「うーん・・・」




やっぱり呪詛のせいか思うように身体が動かない。

戦うことは出来る。

剣を振るうことも。

でも・・・正直身体がついて行かない日が多い。




「まずまずって感じだね」


「・・・・・・ごめんなさい」


「どうして謝るのかな?」


「だって・・・」


「望美ちゃんは頑張ってるよ」


さん・・・」


「私はね、自分の出来ることをしているだけ」


「・・・・・・」


「望美ちゃんもね、自分の出来ることいっぱいしてるでしょう?だからそれでいいの」




さんは強い。

私なんかよりも・・・ずっと、ずっと・・・




「望美ちゃん?」


「神子様、様、失礼致します」


「銀」


様、伽羅御所に行かれるとのことでしたが・・・」


「問題ある?」


「いえ・・・しかし今日は泰衡様は大社のほうに赴かれているようです」


「大社?建設中のあれだよね?」


「はい」


「大社に行けば逢えるの?」


「はい、おそらく」


「そっか・・・じゃあ連れて行ってくれる?」


「はい」


「望美ちゃん、行ってくるね?」


「うん、行ってらっしゃい」




















◇◇◇





















「うわぁ・・・すごいね、大社。近くで見るの初めてー。登れたりする?」


「残念ですがまだ建設中ですので登れません」


「そっかぁー残念だなー」


「完成いたしましたらまたお連れ致しましょうか?」


「うん、連れて来てくれると嬉しい」




でも・・・大社が完成したらそのときはきっと・・・

鎌倉との戦になっている。

この大社はそのためのものだから・・・

北条政子、荼吉尼天対策。




様?如何なさいましたか?」


「ううん、何でもないー。あっあそこにいるの泰衡かな?」


「そのようですね、行かれますか?」


「うん、行く」




















◇◇◇




















「泰衡ー!!」


殿、いらしていたのか」


「うん、泰衡は大社って言ってたから・・・連れて来てもらったの」


「そうでしたか」


「大社・・・もうすぐ完成しそう?」


「あぁ・・・まもなく完成するでしょう」




さて、どうしようかなぁ・・・?

泰衡に逢いに来たはいいものの・・・何を話せばいいか・・・

話したいことはたくさんある。

でも、それを今話してもいいかと考えたら・・・少し迷う所がある。




「完成したら登らせてね」


「大社にですか?」


「うん」


「・・・・・・」


「・・・ダメ?」


「・・・別に構いませんよ」




泰衡に微妙に間があったのが気になるけど・・・

まぁ仕方ないよね。

だって・・・大社が完成する頃には・・・鎌倉との戦いの準備になる。

荼吉尼天との戦いが間近となる。

きっと・・・私が大社に登る余裕なんてないだろうねぇ・・・

彼等の動きにもよるだろうけど。




「ねぇ泰衡」


「・・・如何なされた?殿」


「この平泉にはあとどれくらい呪詛の種があると思う?」


「・・・・・・」


「望美ちゃんも頑張ってるけど・・・まだあるよね?」




私とあなたの一番近くに・・・

一番強大だと思われる呪詛が・・・




殿はどう思われる?」


「一番大きな呪詛があるね、まだ」


「まるでご存知のような口振りですね、その呪詛を」


「さぁ・・・それはどうだろうね?」




知ってるけど・・・今はまだ言えない。

ここで言ってしまってはいけない。




「あっそうだ・・・泰衡にお願いがあるんだけど・・・言ってもいい?」


「あぁ、言ってみるがいい」


「金に逢いたい!!」


「金にか?」


「うん、逢いたいのすごく」




金にはまだ逢ってなかったんだよねぇ・・・

やっぱり、折角だし逢いたい!!




「ならば・・・共に来ますか?」


「うん、行く」


「銀、お前も来い」


「はい、泰衡様」




















◇◇◇





















「ワンワンワン」


「わぁー本物だぁ・・・!!」




金だぁ・・金!!

なんか可愛いよ・・・!!




様のことを気に入ったようですね」


「そうなのかな?嬉しいなぁー」









† 今歩いてるのがどんな道だろうと、私は進まなくちゃいけない †

(生金!生金!!)



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