† 信じたくないから信じない †










「九郎?」


「・・・、か」


「何してるの?」


「・・・・・・」




九郎が見ている方向はおそらく鎌倉。

頼朝がいる場所。




「鎌倉?」


「あぁ・・・兄上は・・・・・・いや、すまない。忘れてくれ」


「そこまで言って忘れてくれはないでしょー?」


「・・・・・・」


「思い切って吐き出しちゃえば?」


「・・・・・・」


「九郎が抱えてる思い、私にはきっとわからないけど・・・九郎が聞いて欲しいなら聞いてあげる」


「・・・・・・兄上は・・・何故俺を恨むのだろうか・・・」


「あーそれは簡単」


「何?!」


「九郎が強いせい」


「俺が、強い・・・?」


「そう、強いでしょ?」




頼朝も強いけど・・・

出る杭は打たなくちゃいけない、九郎はそれだけ頼朝には驚異的な存在。




「だからね、頼朝は怖いんだよ・・・九郎が」


「意味がわからん」


「うん、私も言っててよくわかんなくなってきちゃった」


「何だそれは・・・」


「恨むというより恐れてるんだよ、きっとね」


「・・・・・・」


「九郎は前に言ったよね、頼朝に剣を向けることになるのかって」


「あぁ・・・」


「九郎はどうしたいの?」




多分、九郎の答えは簡単なもの。

頼朝に剣を向けたくなんてない。




「俺は・・・兄上に剣を向けるなどしたくはない」


「・・・だよね、やっぱり」


「だが・・・もし、仲間に・・・お前に兄上が剣を向けるというならば俺も兄上に剣を向ける」


「・・・・・・」




やっぱり九郎も強い人だよね。

仲間に頼朝が剣を向けるなら・・・か。

向けるね、絶対。

っていうか、もう向けているに等しい。




「俺はもう一度、ちゃんと兄上と話がしたいと思う」


「そっか・・・じゃあ鎌倉に行く?」


「しかし・・・いくら書状を送っても鎌倉に入る許可が得られない」




・・・手紙出してたんだ・・・

まぁこの場所に私たちが来ていることも鎌倉側は気付いてるし、何の問題もないけど。




「許可はどうしても必要なの?」


「・・・・・・」


「許可なしで行って、頼朝に思いを伝えてもいいんじゃないの?」


「それは・・・難しいことだ」


「だろうね・・・でも、そのほうが思いは伝わるよ?」




最も、鎌倉に入れば嫌でも気付かれちゃうだろうけど。

荼吉尼天に・・・・・・




「しかし・・・!!」


「それに今すぐはダメだよ、まだ防衛が厳しいだろうから」


「・・・・・・」


「必ず好機は来るから、もうちょっと待とうね?」


「・・・あぁ」










† 信じたくないから信じない †

(九郎はあんなことがあってもまだ、頼朝のこと信じたいんだよね。)



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