† この道が光なのか闇なのかなんて誰にも判らないけれど、進むしかないんだ †
「・・・どうした?」
「ん、ちょっと眠れないなぁって思って」
「そっか」
「将臣は何してるの?」
「あーちょっと月を見てた」
「月?見えないけど・・・」
「あぁ、雲に隠れちまった」
「そっか・・・ちょっと残念」
「・・・・・・お前、一人で抱え込みすぎ」
「え?そんなことないよー」
「そんなことあるだろ。源氏と平家のことも・・・」
「源氏と平家のことは私の勝手な自己満足だったから・・・」
「それでも、あいつらにとっても・・・俺にとってもお前の自己満足は悪いものじゃなかったぜ」
結局は助けられた。
多分、壇ノ浦でも・・・
頼朝が俺たちのほうに目を向けていれば平家の奴らが落ち延びることが出来るって知ってたんだろう。
「そういってもらえたら嬉しいかな」
「・・・なぁ、ひとつ聞いていいか?」
「ん?」
「銀って男、何者だ?」
「銀ー?泰衡の郎党」
「・・・それだけじゃないだろ?」
「あー・・・何が気になる?」
「・・・顔」
「知盛に似てるなぁって?」
「わかってるなら聞くなよなー」
「だってーねぇ?」
「で、何者なんだよ?」
「うーん・・・知りたい?」
「知りたい」
「・・・今は、待って?」
「・・・・・・」
「そのうち時が来たら話すからーね?」
・・・コイツ、焦らすの好きだよな。
前もそんなこと言われたような気がする。
「それよりも、そのお酒は置物?」
「酒?」
「そう、将臣が持ってるお酒!!」
「・・・・・・お前飲めるのかよ」
「まぁ、一応」
盃に酒を注いでやれば満足そうな顔を見せる。
「ありがと。そういえば知盛は?」
「・・・どこ行ったんだ・・・アイツ」
「もしかして・・・寝てたり?」
「あーありえるかもな」
「うわぁ・・知盛の寝顔見たい」
・・・・・・それってちょっと拙くねぇ?
相手は知盛だし・・・
「将臣、将臣!」
「・・・お前、俺を巻き込む気だろ?」
「当然」
「はぁーわかった!わかりましたよ!オヒメサマ」
「何か嫌味っぽいー」
「嫌味だって」
「ひどーい」
「しかし・・・知盛って本当に寝てんのかよ」
「どうだろうーやっぱり武人だしねぇ・・・」
「まぁ行ってみればわかるか」
「うん!」
◇◇◇
「・・・お邪魔しまーす」
「・・・知盛ー?寝てるのかー?」
・・・とりあえず反応なし。
動く様子もなし・・・だよね?
やっぱり寝てる?!
うわぁーうわぁー寝顔拝見できちゃう?!
「・・・知盛ー?ってきゃっ!!」
「クッ・・・寝込みを襲う気か?」
近づいてみればそのまま腕を掴まれて反転。
お布団の上にダイブの状態。
俗にいう・・・そう、まるで知盛に襲われてるような状態?
「寝顔見たかっただけなんだけどー?」
「知盛!!」
「・・・・・・邪魔しないで頂きたいものだな・・・重盛兄上?」
「あのなぁ・・・」
「とりあえずーこの状態はどうかと思うよー?」
「そうか?俺は別に構わないのだが?」
「はいはい、その辺にしとけって!!」
知盛ってやっぱり意味不明。
この状態でいいはずないでしょう。
ていうか・・・私は寝顔見たかったのにー。
「とりあえず、知盛ー退いてよー」
「嫌だ」
「嫌だじゃないでしょー」
・・・なんか知盛我侭になってません?
嫌だ、って・・・
「将臣ーお兄ちゃんでしょー何とかしなさい」
将臣=重盛だし?
お兄ちゃんの言うことは聞くでしょう!!
「あー無理だろ、知盛本気っぽいし」
「えぇ?!」
「まぁ頑張れよー。俺はここで見物してるからさ」
「見物するくらいなら何とかしてよねー!!」
「だから、無理だって言ってるだろ?」
「クッ・・・この時くらいは俺だけを見ていろよ・・・なぁ?」
「わかった、わかったー・・・もうー私にどうしろって言うのよ」
「願いを叶えてくれるのか?」
「お願いごと?あーそういえばもうひとつ残ってたけ?」
「あぁ・・・」
「もうーじゃあ願いごとは?」
「そうだな・・・寝屋を共にとでも言ってみようか・・・」
「寝屋を共にって・・・知盛って淋しがり屋さん?」
一人寝は淋しいってことだよね?
でも・・・将臣だって同じ部屋じゃん。
「ははっ残念だったな知盛、コイツにそういうのは通じないみたいだぜ」
「黙れ、有川」
「ねぇー私寝ていい?」
「はぁ?何言ってるんだよ・・・お前」
「だってそろそろ眠くなってきたんだもんー」
「望美たちのところに戻ればいいだろ」
「だってーもう動きたくないんだもんー」
「わかったわかった!運べばいいんだろ・・・」
「そうー丁重に運んでねー」
† この道が光なのか闇なのかなんて誰にも判らないけれど、進むしかないんだ †
(あーマジ、コイツにはかなわねぇ・・・)
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