† これ程嬉しいことはない †
「、ちょっと来いよ」
「ん?どうしたのー?」
「これ」
将臣から差し出されるのは・・・
やっぱり見事な草書体の書かれた紙、所謂文。
「・・・将臣、読めない」
「ははっ・・・俺も前はそうだったなぁ・・・」
「何書いてあるの?」
「実はな・・・」
「兄上、何用だ?」
「将臣殿、どうしたのですか?」
うわぁ・・・知盛登場。
っていうか、平家大集合?
あっ違うか、重衡いないし。
「これ読んでみろよ」
「・・・・・・なるほどな」
「これは・・・」
「あのー3人でお話、進めないで下さいません?」
何か仲間はずれにされた気分ー。
私だって将臣の呼ばれてきたのにー!!!
「悪い悪い、平家の奴らがな無事に平穏に過ごせる場所に着いたんだってさ」
「本当?!」
「あぁ、そう書いてあるぜ」
「うわぁ・・・よかったね、本当によかったね」
平家のみんなが無事。
それってすごく嬉しいことだよね。
将臣にとっても、敦盛にとっても、知盛にとっても・・・
「そうだ、これは経正からだ」
「経正兄上からの文ですか?」
「お前宛だぜ、敦盛」
「わ、私に・・・ですか?」
「お前宛と書かれてるからな」
「・・・ありがとうございます」
「でもー本当に、よかったね」
「あぁ・・・そうだよなぁ」
「頑張った甲斐があったんじゃない?将臣」
「やっぱお前に話して正解だったな」
「え?」
「絶対喜んでくれるって想ってたから・・・さ」
「喜ぶよー!私だって平家にいっぱいお世話になったんだから」
突然福原に来た私を・・・平家のみんなは受け入れてくれたし・・・
ご飯も食べさせてくれたし。
宴まで開いてくれた。
「返事は書かないの?」
「あー・・・知盛、書け」
「何故俺が?」
「お前が一番言葉数少なかったから」
「何だ・・・その理由は・・・」
「別にいいだろー?」
「私も書きたいー」
「・・・お前書けるのかよ?」
「・・・・・・無理だね」
草書体なんて書けない。
蚯蚓が這った様な字なんて!!!
「じゃあが言ったことを知盛が書けばいいんじゃねぇ?」
「あっそれいい、賛成!」
「・・・俺の意見は無視か?」
「うん、無視」
「お前の負けだな、知盛」
† これ程嬉しいことはない †
(でも、本当によかったよねー。うん、頑張った甲斐があったよね、将臣!)
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