† 言いたいけど言えない言葉 †
「お兄さん、お一人ですか?」
「・・・ちゃん・・・」
「隣いい?」
「うん・・・」
一人海に出て来てみれば突然現れるのはちゃん。
・・・・・・本当は声を掛けられても追い返すつもりだった。
彼女に、今の俺を・・・
これからの俺を見せたくなかったから・・・
でもダメだね・・・受け入れてしまった自分がいる。
「ねぇ、景時は明日・・・頼朝と一緒に?」
「・・・・・・」
「一緒にだよねぇ・・・やっぱり」
どうして知っているんだろうね。
君は、俺のしようとしていること・・・
全部、知っているのかな。
「回りくどいのは嫌、だから聞くけど・・・頼朝は九郎のことよく思ってないよね」
「え?!そんなことないよー」
きっと声にも、表情にも出てしまっている。
この言葉が偽りだと言うことが・・・
「嘘つかないで」
「・・・・・・じゃあ、もし頼朝様が九郎をよく思ってないならどうするつもりなのかな?」
「別に、どうにもしないよ」
「え・・・?」
止めるとか、説得するとか・・・
そんな言葉が出てくるかと思っていた。
でも、ちゃんの言葉は違った・・・
「私がどうにかできるわけないし」
「・・・・・・」
「景時は景時の決めた道を進めばいいんだし」
「・・・・・・」
俺の決めた道って何なのかな・・・
頼朝様の命令で動き、人を殺し・・・
頼朝様の命令があれば九郎でも弁慶でも・・・
ちゃんでさえも殺してしまう、きっと・・・
「私がここで景時に行かないでって言うことも出来るかもしれない、けど、行かないなんてダメでしょ?」
「・・・うん」
「変えることも出来るかもしれないけど、変えれないかもしれない・・・それが運命」
「・・・・・・」
「本当はね、行かないでとか頼朝の命令なんて聞かないでって言いたいんだけどね」
こんな俺に笑いかけてくれる。
でも、やっぱりダメなんだ。
俺は立場というものに縛られてしまっているから・・・
「でも、景時の進む道を私が決めることは出来ないから・・・」
「・・・・・・」
「じゃあまた明日ね」
「あっちゃん!」
「なぁにー?」
「・・・・・・ごめんね」
それしか今の俺には言えないんだ・・・
弱い俺でごめん、ちゃん。
† 言いたいけど言えない言葉 †
(君を・・・みんなを傷つけたくないっと思ってるのも本当の俺なんだ・・・よ。)
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