† 殺してでも、お前が欲しい †
この目の前の女を手に入れるにはどうすればいいのだろうか・・・
なんて、こんなことを考えていれば重盛兄上に笑われそうだな・・・
いや、寧ろ・・・怒られるだろうな・・・
「なんか難しい顔してるねー」
「・・・・・・」
「あははー眉間の皺ー」
「・・・怖いもの知らずだよなぁー本当に」
「将臣!それってつまり私が能天気ってこと?!」
「違うだろ?あっでもお前って結構能天気かもしれないなー」
「失礼な!!能天気じゃありません!!」
「「・・・・・・」」
「あーもう二人とも無言になるし!!ムカつくーっ!!綺麗な顔をこうしてやるー!!」
頬を横に伸ばされる。
・・・結構、痛みを感じるものだな・・・
前にも同じことがあったか・・・三草山での逢瀬。
「だから!その行動が怖いもの知らずって言ってるんだよ・・・」
「えー?いいじゃん。知盛も嫌がってないように見えるしー?」
別にこの女に触れられることが嫌だとは思わない。
媚びるように触れてくるわけでもないからな・・・
「まぁそうだよなぁ・・・コイツが女に触れられておとなしくしてるところなんて初めて見たぜ」
「重盛兄上はそのように俺を見ていらっしゃったのか」
「実際そうだろ?こんな風に触れてくる女には斬りつけはしなくても睨んでるだろーが」
「えー?知盛ってもっと女の人いっぱい相手してるのかと思ってた!来るもの拒まず去るもの追わずって感じ!」
「・・・昔の話だ、それは」
「へぇーじゃあ今はどうなってるんだ?」
「ククッ・・・目の前のよくわからん女の相手に忙しいからな・・・」
「ふーん・・・目の前の女ねぇ・・・って私?!」
「・・・お前、微妙に反応遅い」
「将臣はちょっと黙ってる!」
「はいはい」
「知盛!!」
「・・・何だ?」
「どーして私がよくわかんない女なのよ!?」
「・・・・・・」
「ちゃんと答えなさーい!!!」
・・・・・・やっぱりこの女はよくわからん。
こんな女は初めて見た・・・
・・・だから手に入れたいなどとらしからぬことを考えたのかもしれんな。
「・・・・・・よくわからん女だろ・・・?なぁ?兄上?」
とりあえず、兄上にも同意を求めることにしよう。
そうすれば・・・標的が変わるかもしれないからなぁ・・・
「・・・俺に振るなよ」
「将臣もそう思ってたわけ?!ひどいーひどいーひどーい!!」
どうやら標的は重盛兄上に変わったらしい。
「・・・ったく、逃げるなよなぁ、知盛」
「・・・逃げてなどいないさ・・・」
「もう怒ったー!!!」
「重盛様」
「おっどうした?」
「失礼致します、夕餉の用意が整いましたので・・・」
「あぁ、サンキュ」
「えっ?!ご飯?ご飯?!」
「あぁ、飯だってさ」
「わぁーっ!平家のご飯楽しみー!」
「譲が作るみたいな物は期待するなよ?」
「わかってるよー」
・・・どうやらはさっきまで怒っていたことを忘れているらしい。
女房もいい頃合に来たものだな・・・
「ほら、早く行こうぜ」
「うん!!あっ・・・あとで覚えておきなさいよ!二人とも!!」
「「・・・・・・」」
・・・忘れていなかったらしい。
「・・・さて、どうするか」
「兄上に任せますよ」
「待て!元はといえばお前が悪いんだろーが!!」
「・・・・・・」
「とりあえず、飯で機嫌がよくなればいいんだけどなぁー」
「あとで楽でも奏でていただくか・・・経正殿に」
「あっそれいいな。ついでにお前もなんか弾けよ。できるんだろ?」
「・・・・・・あの姫君が望めばな」
「将臣ー知盛ー早くー!!」
「とりあえず今はあのお姫様の機嫌をこれ以上損なわないようにしようぜ」
「あぁ・・・」
◇◇◇
「二人で何の話してたのー?」
「夕餉の後に楽でも奏でるかって話だよ」
「楽ー?」
「笛とか琵琶とか・・・音楽だよ、音楽」
「あっなるほど!わぁー奏でてくれるのー?」
「経正殿がな・・・」
「お前が頼めば知盛も奏でてくれるらしいぜ?」
「兄上、余計なことを・・・」
「本当?!知盛が楽かぁー何奏でるのー?」
「・・・・・・姫君が望むものを・・・」
「この場合姫君って私だよね?うーん何がいいかなぁーあっ琴がいい!!」
「琴ー?知盛がかぁ?」
「いいでしょ?いいでしょ?!だって光源氏も琴弾いてたんだよー」
「よく知ってるな」
「だって読んだもん。ねっ知盛、お願い!」
「あぁ・・・わかった」
「やったー」
† 殺してでも、お前が欲しい †
(・・・・・・なんて、な。)
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