† ひらひら、舞え、舞え †
「・・・・・・」
「そ、そんなに睨まなくてもいいじゃない!!」
「・・・・・・」
「私、ちゃんと言ったでしょ!覚え悪いかもしれないって!」
ただいま知盛に舞を習い中。
しかもなぜか潮岬の崖みたいなところで。
・・・普通平面なところでやるものじゃないの?!
「もう一回ー」
「・・・わかった」
知盛はぼこぼこしてるところなのにすごく綺麗に舞っていて・・・
やっぱりすごい人なんだって改めて思わされる。
「覚えたか?」
「うーん・・・無理」
「・・・手を貸せ」
「手?」
「頭で覚えられないのなら・・・身体に覚えさせるまでだ」
知盛に手を伸ばせばその手を捕まれる。
あーなるほど、知盛が私の手を操って形を教えてくれるということ。
「うん、この方が覚えやすい」
知盛の動きはやっぱり洗練されているもの。
手を動かしてもらうだけで舞の形に近づいていると感じる。
「・・・・・・」
「・・・どうだ?」
「何か舞ってるみたい!もう一回もう一回!!」
「・・・姫君は一体何さし舞わせるつもりだ?」
「当然、できるまでー」
「面倒だな・・・」
「でもOKしたのは知盛じゃん」
「・・・・・・」
「だーかーら!睨まないでよ」
「お前らよくそんなところで舞えるよな」
「あっ将臣ー!」
「ほら、差し入れ」
「・・・カキ氷?」
「あぁ・・・食うだろ?」
「食べる食べる!冷たいもの嬉しいー」
「・・・兄上、俺にはないのか?」
「ない」
「・・・・・・」
「あははーありがと、将臣」
「アイスクリームじゃなくて悪かったな」
「いいよ!いいよ!カキ氷も大好き」
「そっか」
熊野の夏は暑い。
だからやっぱり冷たいものって嬉しいなぁ・・・
でも、知盛がまだ将臣を睨んでる・・・
「はいはい、知盛。怖い顔しないの!」
「・・・・・・」
「ほら、あーんして?」
「お、お前何やってるんだよ!?」
あーんの意味がわからないのか知盛は唖然としたまま。
将臣は・・・呆れてる、かな?
「とりあえず、知盛。口開けて」
「あぁ・・・そういうことか」
口を開いた知盛の口にすかさず氷の乗った匙を入れてみる。
あ・・・食べた。
知盛がカキ氷・・・なんてちょっと以外で面白いかも・・・
「将臣も食べるー?」
「・・・あ、あぁ・・・食う」
「はい、じゃあ、あーん?」
あーある意味間接キス?
まぁいっか、将臣と知盛は兄弟だし。
† ひらひら、舞え、舞え †
(あーでもホント舞って難しい。難しくて仕方がない。)
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