† 交わらないもの †
「ただいまー」
「お帰りなさい、さん!」
「お帰りなさい、さん」
「はい!これ望美ちゃんと朔ちゃんにお土産だよー景時が買ってくれたんだけどね」
「まぁ、兄上が?」
「うわぁー綺麗!」
「景時がね、3人お揃いにって言ってくれて私の分も買ってくれたの」
「お揃い・・・なんか嬉しいですね!!」
「えぇ、そうね」
「私も、すごく嬉しいよー」
「お帰りなさい、さん」
「ただいまー」
「九郎がお待ちですよ」
「え?九郎?」
「えぇ・・・鎌倉殿のところに行っていらっしゃいましたからね」
「あーなるほど」
そうだよね・・・やっぱり気になるよね。
鎌倉殿、頼朝の言葉だもん。
「わかったー行ってくるね」
「その前に、大丈夫でしたか?」
「全然大丈夫だよー」
頼朝に何もされてないし。
もちろん政子さんにも。
「そうですか・・・それならよかったです」
「じゃあ九郎のところに行ってくるねー」
◇◇◇
「九郎ーただいまー」
「あぁ、帰ってきたのか・・・」
「とりあえず、頼朝に名乗らして、名乗ってきただけだから」
「何だと?!」
「え?何か拙かった?」
「兄上に名乗っていただくとは・・・」
「私の世界では名前を聞いてきた人は先に名乗るのが当たり前なの」
「・・・・・・」
「それに、怒られなかったしね」
「兄上は広いお心をお持ちだ」
・・・そうかな?
案外とっても狭い心かもしれないよ?
だって、あなたを殺そうとしちゃうしね。
出る杭は打たなくちゃいけない主義?
「まぁとりえず、私の報告はこれだけ」
「あぁ、わかった」
「あとは景時にでも聞いてねー」
「そうさせてもらう」
「あっそうだ、次の予定は?」
「熊野だ」
「熊野かー」
やっぱり熊野なんだねー。
熊野水軍の協力を仰いで・・・どうなるか。
ヒノエはこっちにいるしなぁ・・・でも、問題は絆かな?
それと・・・平家がどう出てくるか。
参詣か御幸か・・・これで運命が変わる可能性もあるしね。
「水軍は協力してくれるかなー?」
「協力してもらわなくてはならん」
「頼朝の命令だから?」
「あぁ」
やっぱり命令なんだね、命令が全て。
さて・・・どうしましょうかねぇ。
† 交わらないもの †
(ごめんね、九郎。このままだと頼朝と九郎の想いは決して交わらないよ。)
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