† お前の側にいれることが俺の特権 †
「、鎌倉に行くんだって?」
「よく知ってるねー」
「俺の情報網は甘くないからね」
「そうだね、流石熊野別当」
「え・・・?」
今何て言った・・・?
この姫君は俺が熊野別当だってこと知っていたのかな?
「あっ言っちゃダメだった?」
「ふふ、どうしてお前は知っているのかな?」
俺が熊野別当だということを。
叔父上殿や敦盛が話すとは到底思えない。
じゃあ何故、知っている?
「知ってちゃいけない?」
力強い瞳。
俺が捕まってしまった瞳。
この瞳相手じゃ・・・聞き出すことも叶わないだろうな。
「いや、構わないよ」
「大丈夫ー誰にも言わないよ?」
「あぁ、一応そうしてくれると助かるね」
ここにいるのは源氏ばかり。
俺が熊野別当だと知られてしまったら熊野水軍の力を欲するだろうからね。
でも、熊野水軍は簡単には動かない。
「熊野は負け戦はしないもんね」
「よく知っているね」
そう、熊野は負け戦はしないよ。
絶対にね。
「私も負け戦はしないよ」
「へぇ・・・」
この姫君も負け戦はしない・・・か。
確かにこの瞳に負け戦は似合わないね。
負け戦などは似合わない強き瞳。
「だから・・・もしもの時は協力してね?」
「あぁ、そうだね・・・お前が望むのなら」
お前が望むなら・・・この強き瞳には賭けてみてもいい。
俺自身の運命も・・・
熊野の運命をも・・・
全てを。
「じゃあそういうことで・・・ちょっと休憩」
「・・・え?」
俺の肩に触れるのは頭。
他ではない、強き瞳を持つ女神様の。
「明日の早朝に出発なのーだから睡眠は取れるときに取っておかなくちゃ」
全く・・・この姫君は何を考えているのか・・・
俺も、男なんだけどね?
もしかして俺は男として認められていないのかな?
それならば・・・もう少し考えなくちゃいけないね。
「だから・・・肩、貸してね?」
「強き瞳の女神の仰せのままに・・・」
結局は俺もには敵わない。
敵うはずがない。
この女神様は手強いから・・・手に入れるのにも一苦労しそうだね。
でも、それを・・・この状況を楽しんでしまっている俺がいるのもまた事実。
◇◇◇
「おや・・・面白い光景ですね」
「俺は蛇の生殺しなんだけどね」
完璧に夢の中の住人になってしまっているさんと・・・
動けずにいるヒノエの姿。
「眠っている女性に手を出すほど落ちぶれていないでしょう?」
「当然」
「・・・う・・・ん・・・?」
「あっ起きたかい?」
「起きたーヒノエ、肩ありがとねー」
「どう致しまして」
「さん、本当に・・・鎌倉まで行かれるんですか?」
「うん、行くよー」
「・・・・・・」
景時から聞いたのは鎌倉殿がさんとの謁見を望んでいること。
利用される可能性が高い。
「しかし・・・」
「利用されそう?」
「えぇ・・・」
鎌倉殿の耳にも入っている。
さんが雨を降らせたことも・・・
三草山での采配も・・・
「大丈夫だよー」
「・・・・・・」
「簡単に私は利用されないから」
「どうしてそんなことを言えるのですか?」
「頼朝が私を利用しようとするなら私が頼朝を利用してあげる」
「全く・・・君という人は・・・」
本当に手強い人だ。
あの鎌倉殿を利用するとまで言い出した。
普通ならこんなこと言えば極刑かもしれないのに・・・
最も、ここには彼女に手を掛けることができる人間など、いないでしょうが・・・
「それに!実は雨を降らせて欲しいーとかかもしれないしね?」
「そんなことなら苦労しないのですけどね」
「とにかく、すぐ帰ってくるから待っててよね?」
「・・・・・・」
「私はね、迎えてくれる場所に帰ってくるんだから・・・待っててくれる人がいないと帰って来れないじゃん」
「アンタの負けだよ」
「・・・そのようですね」
「、俺はお前を待っているよ。だから・・・早く帰っておいで」
「僕も君が帰ってくるのを待っていますよ」
「うん」
◇◇◇
「さんー本当に行っちゃうんですか?」
「うん、すぐ帰ってくるから待っててねー」
「・・・はい、待ってます」
「あっ美味しいもの作って待っててくれると嬉しいな」
「はい!譲くんと朔と頑張って美味しいもの作って待ってますね!!」
† お前の側にいれることが俺の特権 †
(俺は待ってるよ、お前が笑顔で帰ってくることをね。)
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