† 痛いんです。傷や痣よりも心が痛いんです †
「お前が還内府か?!」
「・・・・・・違う、還内府殿は三草川のほうに行ったさ」
「なんで平知盛がいるわけ?!」
ちょっと待ってよ。
ここにいるのは平経正じゃないの?!
敦盛のお兄ちゃんの!!
「平知盛だと?!」
困った、困った。
いるはずの平経正はいなくて・・・
ここにいるのは平知盛。
「作戦タイム!作戦タイム希望!!」
「え?さん?」
「平知盛!」
「・・・なんだ?」
「話しよう、話」
「・・・・・・」
「九郎ー時間ちょーだいー時間!!」
「はぁ?お前は何を言っているんだ?!」
「私、知盛とお話しなくちゃなの!!」
この男がここにいると戦いになりかねない!!!
三草山は両軍撤退って相場は決まってるの!
絶対に戦いなんてしないんだから!!!
「・・・・・・九郎、ここはさんに任せてみましょうか」
「弁慶?!何を言ってるんだ?!」
「彼女は不思議な人ですからね、このことも予期しているのかもしれませんよ?」
弁慶ー!それは全く検討外れです。
予期なんて全くしてませんでした!!!
経正相手で交渉成立で両軍撤退って単純に考えてました!!
「しかし・・・!!」
「何かあれば僕たちが手を出せばいいことです、こちらのほうが兵の数も多いですからね」
「・・・・・・」
「さん、なるべく短時間で片をつけて下さいね」
「了解ー!いいって言うまで手出ししないでよー!!」
「知盛殿がさんを手に掛けた時点で手出しさせていただきますよ」
「えー」
「あと、どうして知盛殿のことを知っているかも聞かせて下さいね」
難しいなぁ・・・
帝と尼御前を追って来て、還内府と一緒に発見しましたー・・・なんて言えないし。
何よりこの最恐軍師殿にどこまで作り事が通用するか・・・
「では、知盛殿・・・くれぐれもさんに手出ししないように」
「怖いな・・・軍師殿」
「では、さん。お気をつけて」
「はーい。九郎のことよろしくー」
「えぇ、お任せ下さい」
というわけで、知盛との話し合い決定。
あとで弁慶に言う言い訳も考えなきゃ・・・
知盛に考えさせちゃおっかなー・・・
「とりあえず・・・知盛久し振りー」
「あぁ・・・」
我ながら軽いこと言ってるなぁ・・・なんて。
この場で久し振りーって言って・・・
しかも、知盛に頬を抓ってみたり。
「やっぱり本物だー」
まぁ偽者でも困るんだけどね。
何か平家の兵に殺されそうな殺気を感じるんだけど・・・?
やっぱり知盛の頬を抓ってみたのが悪かったかな?
でも、何故か知盛からは殺気が感じられない。
怒ってもおかしくないだろうにね!
「・・・痛い」
「痛いー?大丈夫ー?」
「・・・お前のせいだろう・・・」
「あっそっか」
戦場では似合わないような綺麗な笑顔。
平家のみんなびっくりって感じ。
あっ源氏もか・・・
みんな平知盛は戦第一人間と思ってるもんねぇー多分。
「痛いよねーこういうの痛いって言わなかったらどうしようかと思った」
戦慣れしてたら痛いなんて言葉言わない。
言えないのほうが正しいのかな・・・
「・・・・・・?」
「痛い、なんて言葉あまり使わないでしょう?」
「・・・・・・そうだな」
「どんなに怪我をしても、痛いなんて言葉使わないもんね」
「怪我は治るものだからな」
「うん、そうだね」
確かに怪我は治るよ。
でも、人を殺めたという罪、血で剣を染めたという罪は消えない。
そして・・・その罪で傷つく心も・・・
簡単には治らない。
「あなたはどれだけ傷ついてきたのかな」
「数多さ・・・戦場に身を置く人間であるからな」
「そうだね、いっぱい苦しい思いしてきたんだよね」
今も、昔も、この先も・・・
彼はいっぱい苦しむ、きっと。
「身体だけじゃなくて、心もいっぱい」
「心だと・・・?」
「怖い顔してる、そんな顔してる奴にはこうしてやるー!」
さっきみたいに頬を抓ってみる。
あーあー綺麗な顔が歪んじゃってるー。
私の所為なんだけど。
「痛いでしょー?痛いでしょー?」
「・・・・・・」
「何も言わないならこのままだからねー」
「・・・痛いから、離せ」
「はい、よく出来ました」
痛いって言うのは悪いことじゃないと思う。
最も、ずっとずっと痛い、痛いって言われるのも嫌だけど。
あまりに言わなすぎる人は言ったほうがいいと思う。
† 痛いんです。傷や痣よりも心が痛いんです †
(っていうか、私ってば空気読めてない?!)
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