† 幸せを運んで来たのは貴方だった †











「さてさて、望美ちゃん。春の京に来たのは何度目?」




梶原邸は予想よりも広かったです。

景時と朔ちゃんのお母様も優しい雰囲気の人だったし・・・

でもって、本当にゲームの世界にいるんだって実感。

と、ちょっとまだ信じられない感じ。

だけど、立ち止まってるわけにも行かないから望美ちゃんに質問。




「え、どういう意味ですか・・・?」


「そのままの意味。望美ちゃんはこの春の京に何回来たことがある?」


「・・・・・・2回目です」


「そっか・・・やっぱり知ってるんだね。みんなが死んじゃう運命を」




だから、白龍の逆鱗でこの時空に戻ってきた。

運命を変えるために。

みんなを死なせないために。




「・・・はい。でも、どうしてさんが・・・知ってるんですか?」


「私は知ってるの。全ての運命を」


「全ての運命・・・」




もっとも、この先がどうなるかなんてわからない。

だって、私はこのゲームの世界の人間じゃない。

だから、私という存在が介入してしまった時点で、

私の知っている運命以外の運命があるということになる。

私が存在する運命だけは私にもわからない。




「・・・・・・さん」


「ん?」


「私は運命を変えたいんです」


「・・・うん」


「みんなが死んでしまう運命なんて嫌なんです、だから・・・私に協力してください」




なんて、力強い瞳。

私がなりたくて、憧れていた女の子。

とても、強くて、綺麗で、可愛らしい白龍の神子様。




「私でよければ喜んで。白龍の神子様?」


「・・・ありがとうございます・・・!」




私の知っている情報を全て望美ちゃんにあげる。

どこまで運命が変わるかもわからないこの世界。

白龍の神子様と一緒に変えるのも悪くない。

私も、望美ちゃんも悲しい運命を変えることを望んでいるから。




「みんなが幸せな運命にしようね」


「はい!」




みんな・・・

源氏だけじゃない。

平家も、平泉も、望美ちゃんも朔ちゃんもこの戦の中にいる兵士たちも・・・みんな。




「じゃあ、まずは八葉を捕まえに行かなくちゃね」


「え?でも・・・京で逢えるのは後はリズヴァーン先生だけですよね?」


「捕まえることができるのはもう一人いるんだよ」




そう、捕まえることができるのは・・・ね?

敦盛はここでは八葉になってはもらえないけど。

ヒノエはこの春の京で八葉になってもらえるから。

だから、もう一人。




「え?誰ですか?」


「熊野水軍の一員さん」


「もしかして・・・ヒノエくん?」


「正解」


「でも、ヒノエくんは熊野でしか逢えないんじゃ・・・」


「実はね、京に来てるんだよ」


「知らなかったです・・・」


「折角だし、今から捕まえに行っちゃおっか?」


「あっでも・・・今から九郎さんに花断ち見せなきゃいけなくて・・・」


「そっかそっか。じゃあ私が捕まえに行ってみてくるね」


「いいんですか?!」


「うん、もちろん」


「じゃあ・・・お願いします」


「はい、お願いされました」




あ、でも・・・

ヒノエ、望美ちゃんじゃないと口説き落とされてくれなかったりして?!

うわぁーそれは非常に可能性がある。

でも、とりあえず行ってみて、ダメだったら望美ちゃん連れてもう一回行けばいいか。





















◇◇◇






















さん、お出かけですか?」


「あ、うん。ちょっと人探しに行こうかと思いまして」


「人探し、ですか・・・」


「はい。あ、弁慶も一緒に行く?」


「ふふっ可愛いお嬢さんからのお誘いじゃ断れませんね」


「可愛いなんてそんな、私結構な歳なんですよ?」


「望美さんと同じくらいではないのですか?」


「違いまーす。弁慶に近いです、九郎よりも年上です」


「・・・・・・」




あ、これはマジ驚いてるような気がする!!

歳相応に見えなくて悪かったですねー!!




「ささっそんなことより、早くヒノエ探しに行きましょうー!」


「君の探している人はヒノエだったのですか?」


「あ、うん。ヒノエです、ヒノエ」




弁慶相手だし、本名言っちゃってもいいけどここはあえてヒノエで。

そういえば、弁慶は知ってるのかなぁー?

ヒノエと春の京で逢えること。

なんか、普通に知ってるような気もするんだよねー。

弁慶だし。




「君は不思議な女性ですね」


「それって褒め言葉?」


「えぇ」


「そっかそっか、ありがと。じゃあ、早速ヒノエのところまで行ってみましょうー!」










† 幸せを運んで来たのは貴方だった †

(これでヒノエに逢うことさえもできなかったらカッコつかないよなぁーうん。)



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