† 女は謎があった方が美しいのよ †











突然落ちて来た女がいた。

その女は、俺の名を知っていた。

平重盛でもない、還内府でもない、小松内府でもない・・・

有川将臣という、俺の本当の名を。

そして、運命を知っているという。




「・・・どういう意味だ?」


「んーそのまんま」


「・・・・・・」


「あ、そーだ。ごめんね本当なら最初に言わなきゃいけなかったことがあった」


「・・・なんだ?」


「助けてくれてありがと」




・・・反則だ、その顔。

繕ったような今までの表情とは一転、屈託のない笑顔・・・なんてさ。




「・・・・・・」


「なんでまた無言になっちゃうかなー?」


「・・・ははっ、変な奴だな」


「変とは超絶失礼!」




ギロッと睨みつけるその姿がなんとなく、可愛い・・・なんて思っちまった。

なんていうか、俺らくしねぇーな。




「なぁ」


「ん?」


「確か、だったよな?」


「あ、うん。です、


って呼んでいいか?」


「うん、もちろん!って、私ってばもういきなり将臣って呼んでたね」


「いいぜ、別に。好きに呼んでくれ」


「ありがと。じゃあ将臣呼び継続で」




将臣なんて呼ばれるの、久しぶりだよな・・・

この世界で俺のことを将臣なんて呼んでたのはただ一人。

平清盛。

清盛が清盛であったころは俺のこと将臣って呼んでたもんな。




「将臣、笑ったね。さっきとは全然雰囲気が違う」


「・・・まぁな。でも、仕方ないだろ?」


「うん、そーだね」


「だけど、なんかお前と話してて一人殺気立ってるのも馬鹿馬鹿しく思えたんだよ」




らくしねぇけど、心地よい空気を感じた。

なんていうか、懐かしいとか、癒されるとか・・・そんな空気。

ははっコイツの纏う雰囲気に感化されちまったかな。




「将臣」


「なんだ?」


「私は最初から、将臣のこと敵だなんて思ってないよ」


「・・・・・・そっか、サンキュ」


「むしろ私は将臣の味方でいたいって思ってるんだよー」


「は?」


「でも、理由はまだ教えてあげない。そのうち教えてあげる」


「なんだよそれ」


「秘密でーす。女はいつでもミステリアスが素敵なの!」


「なぁ、お前いくつだ?」


「うわっ女の人に年齢聞いちゃだめなんだよー!」


「・・・・・・」


「まぁ答えるけど。23歳」


「・・・・・・は?」


「見えないとでも言いたそうな顔だねー」


「見えねぇ」


「普通に言いやがったし!」


「マジかよ・・・」


「マジマジ。ちなみに普通に社会人やってます」


「信じらんねぇわ、俺より年上とか・・・」


「いや、信じてよ。マジな話だから」




普通信じられない。

どう見ても・・・20歳越えてるようには思えない。

てか、高校生でもいけるんじゃねぇ?

・・・まぁ、化粧は高校生にしては濃いと思うけど。




「OK。わかったわかった、信じるぜ」


「ありがと。信じてくれて嬉しいよ」


「で、お前これからどうするんだ?」


「んーそれは今、考え中」


「なんだよそれ」


「私だって色々と考えてるんですー」


「まぁ行くとこないんだったら俺のところに来いよ」


「え?」


「たぶん、俺が世話になってる人たちもお前のこと歓迎してくれると思うから」


「・・・ありがと、将臣」










† 女は謎があった方が美しいのよ †

(なんていうか・・・悪い感じはしねぇーんだよな、マジで)



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