† まだ、物語は始まらない †











「行きたいなぁ・・・」




なんて思ってしまうのはいつものこと。

でも、その願いが叶うことがないってこともわかってるのに、

どうして私は願ってしまうのかな?

願いが叶うことを。

あの世界に、行くということを・・・










<その願い、叶えよう>











「え?」




今の声、何?

確かに、何か声が聞こえた・・・

でも、その声は耳に聞こえるんじゃなくて、

頭に直接響き渡る声。










<万物を手にする者よ>











「万物?」




万物って何?!

しかも、その万物を手にする?!

でも、この状況だとその”者”というのはおそらく私。










<我が姫の望む場所へ、今、時空を繋ぐ>











「私の望む場所・・・?」




望む場所。

ずっと、行きたい行きたいと願っていた場所。

これは甘い誘惑。

危険な賭け。

でも、信じてみたくなっちゃうじゃない。

私は、行きたい。

遙かなる時空の中で3と十六夜記の世界へ・・・










<我が姫、時空を越えることを望むか?>










「・・・望む、望みます」




どうなるかなんてわかんない。

それが人生。

どうせなら・・・信じてみればいい。

だって、この声は何かはわからないけど・・・信じてもいいような気がするから。

この”万物”という存在を私は信じてみようと思う。










<ならば叶えよう、我が姫が望む場所へ・・・>










「って・・・?!」




私、今、落ちてるよね?!

なんで?!

なんでこんな落ちるという展開?!

あぁーーー!!!

このまま行くと顔面衝突?!

嫌だなぁ・・・絶対痛い。

痛いの反対!




「とりあえず・・・!顔面衝突だけは嫌!絶対にイヤーーー!!!」




てか、顔面衝突なんて可愛いものですまないかもしれない。

普通に考えたら・・・このままいくと、

ジ・エンド・オブ私?

そんなの絶対にイヤーーーー!!!!





















◇◇◇





















「いったーい!!!」




・・・って、あれ?

痛いといえば痛いけど、そんなに痛くない。

あーそっか、誰かが土台になってくれたんだ。

うんうん、いい人もいるもんだねぇー。

てか、ここどこなんだろ?

やっぱり、遙か3の世界?

でも、そんな確証・・・




「・・・ったく、いきなり落ちてくるか?普通」




・・・あ、あった。




「おーい、お前、生きてるかー?」




目の前で手を振ってるのは・・・

紛れもなく、有川将臣。

彼が私が遙か3の世界に来たっていう確証。

私、なんか意外に落ち着いてるなぁーもっと、キャーキャーってミーハー心たっぷりのはずだったのに。




「生きてまーす。有川将臣さん?」


「・・・俺の名を知ってるのか?」



あー睨まれてる、睨まれてる。

見事に睨まれてるね。

まぁそりゃそうか。

だって、彼はここでは還内府、平重盛。

今がいつかによっては彼が”有川将臣”だと知っている人は限られている。




「知ってるよ」


「・・・お前、何者だ?」


「睨まないでくれるなら教えてあげるよ」




まぁ睨まれてもおかしくないんだけどね。

だって、明らかに不審者だし、私ってば。

なおかつ、彼の本当の名前まで知ってる時点で彼の中では要注意危険人物。

彼にも守りたいものがあるもんね。




「・・・・・・」


「まずは自己紹介。私は


「・・・・・・」



あーまだ睨みつけられらてる。

さて、どうするものか。

もうちょっとこう、フレンドリーに・・・

あ、そっか。

カタカナの力を使ってみよう!

そうすれば、私が・・・ここではない世界から来たというある意味の証明になる。




「ねぇ、もうちょっとフレンドリーに行こうよ」


「・・・お前、カタカナ通じるのか?!」


「Yes!もちろん通じるよ!」




あ、笑った。

やっぱりカタカナ効果はあるみたいだね!!!




「お前もこことは違う世界から来たのか?」


「うん。だけどね・・・私は将臣とも違う世界から来たよ」




だってこの世界も、将臣がいた世界も私から見ればゲームの中の世界。

私が来たのは私から見て現実の世界。

・・・・・・ちょっと待て。

これって夢?!

夢オチとかありえる?!

こんな鮮明な夢オチとかあり?!

でも、まぁいいや。

今この瞬間はきっと本当だから。




「そっか・・・」


「もう一つ、最初の質問の答えだけどね」




彼は私に「何者だ?」と聴いた。

その答えは・・・

私はだということと・・・もう一つ、答えられるとしたら、




「私はこの先の運命を知ってるよ」




この先あなたがどうなるのかも。

どんな悲しい運命が待っているかも・・・知ってるよ。










† まだ、物語は始まらない †

(だからこそ、私は悲しい運命を変えたい。きっと、私はそのためにこの世界に来た)



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