† 本当に大切なものは †










清盛お義父様がお隠れになられた。

でも、怨霊として復活した。

最初は怨霊として復活することに否定的だったんだけどなぁ・・・

今ではその反対。

別にいいんじゃないかと思ってしまう。

平家一門のことを想えば・・・




「これが・・・情なのかなぁ・・・」




あの時この世界に来て。

あの三人の婚約者みたいな存在になって・・・

この邸では良い様に扱ってもらっている。

清盛お義父様と時子お義母様・・・

二人も私のことを実の娘のように扱ってくれるし、私も実の両親のように想っている。




「どーした?」


「あ、将臣」


「・・・・・・」


「大丈夫だよ、私は・・・知ってたから」




知ってたの。

清盛お義父様が怨霊として復活すること。

でも・・・ここからが平家が滅びの道に進む。

だから、変えなくちゃ。




「・・・・・・そっか」


「ごめんね、私は清盛お義父様が死を迎えずにすむ道を知らなかったから・・・」


「いいんだよ、仕方ねぇーよ。お前のせいじゃない」


「・・・ありがと」


「しかし・・・なんで子供に戻るんだ?」


「さぁ?若くていいんじゃない?」




私的にはー・・・ファントムが見たかったなぁ・・・なんて。

そんなこと言ったら色んな意味で怒られちゃうね。




「知盛と重衡は?」


「あいつ等はまぁ・・・色々忙しいみたいだぜ」


「将臣はいいの?」


「俺は一般人だからな」


「平重盛なのに?」


「だから、俺は重盛じゃねぇーよ」


「わかってるよ」


「・・・・・・」


「でも、今の清盛お義父様にとっては・・・将臣が重盛なんだよね」


「・・・あぁ」


「頑張って」




・・・頑張って、なんて軽い言葉。

本当はこんな言葉将臣に言っちゃいけないけど・・・

これしか言葉が見つからない。

彼はこれから沢山のものを背負わなくてはいけない、平重盛として・・・




「私も出来る限りで協力するから」


「・・・サンキュ」


「さーて、どうしよっか・・・これから」


「この先の戦は?」


「うーん・・・大きいのは倶利伽羅峠の戦いだね。もうちょっと先の話だけど」


「倶利伽羅?」


「そう、倶利伽羅」


「その戦は・・・平家はどうなるんだ?」


「・・・・・・有利だけど、不利だね」


「どっちだよ・・・」




倶利伽羅峠、平家は負けるんだよね・・・

有利な状況だったのに、不利になって。




「私も行くよ、倶利伽羅」


「ダメだ」


「どうして?」


「その戦、平家の将は殆ど倶利伽羅に行くんだろ?」


「まぁ・・・そうなるよね」


「だからこそ、お前はここに残らなきゃいけねぇーんだよ」


「非戦闘員を守るために?」


「あぁ」


「そっか・・・そうだよね」




本当は一緒に倶利伽羅に行きたいけど・・・

私には多分、倶利伽羅峠の戦いを変えることは出来ない。

最初から諦めてるみたいだけど・・・きっと、そうなんだ・・・




「みんなが安心して戦えるように・・・私がここを守らなくちゃね」










† 本当に大切なものは †

(そのために私は剣を握った。)



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