† 貴方様の仰せのままに †
「ん・・・知盛ー抱っこぉー」
「はぁ?」
「知盛、抱っこしてぇー私もう歩けないー。でもお部屋戻って寝るのぉー」
面倒な女は嫌いだ。
だが、動いている自分がいる。
・・・・・・可笑しな話だな・・・
「んー・・・知盛、あったかぁーい」
女を抱き上げる行為など・・・
当然、した事がない。
感じるのは・・・のあたたかさ。
あたたかい・・・か。
「このままお部屋に連れて行ってねぇー」
「・・・御意」
「知盛ー間違いは起こすなよー」
「間違い?」
「そう、寝てる女に手ぇ出したら最低だぜ?」
なるほど・・・な。
有川の世界では許されぬ行為なのか・・・
「・・・・・・さぁ、どうなるだろうな・・・?」
「お、おい?!」
「兄上、を悲しませるような行為はやめて下さいね」
「クッ・・・余裕がないな重衡」
「えぇ・・・恋敵が多いですから」
「ははっライバルねぇ・・・」
「「らいばる?」」
「俺がいた世界では恋敵のことをライバルって言うんだよ」
「ライバルぅー?誰が誰のライバルなのぉー?」
「暴れるな、落ちる」
「やぁー落しちゃ嫌ぁー。痛いの反対ー!!!」
本当に・・・面倒な女だな。
抱き上げろという命に従えば次の要求を出してくる。
面倒だが・・・悪くない。
「ん、で・・・誰が誰のライバルー?」
「知盛と重衡が俺のライバル」
「うにゅ?」
「で、知盛と俺が重衡のライバル」
「うぅ?」
「重衡と俺が知盛のライバル・・・わかったか?」
「んー・・・三人はライバルなんだぁー・・・」
「・・・お前、意味わかってんのか?」
「うー?全然ー」
「はぁ・・・そうだろうと思ったぜ。酔っ払いめ・・・」
「なぁにー?また私一人仲間はずれなのー?」
「まぁそうだな」
「にゅー!!ずるいずるい。私も仲間に入れてよー」
「お前は無理・・・さ」
「何で?!」
「クッ・・・恋敵、だからな」
「えぇー私も恋敵になるの!恋敵!!」
「・・・知盛」
「わかりましたよ、重盛兄上」
有川の言いたいことはわかる。
この女は早く寝かせて来いと言うことであろう。
全く・・・
本当に面倒な女だなぁ・・・
それでも、否と思わぬ自分がまた可笑しい。
クッ・・・これもまた一興・・・か。
† 貴方様の仰せのままに †
(・・・可笑しな女がいたものだな。)
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