† 私に微笑んで? †
「還内府殿・・・」
「・・・何だよ、お前等が悪いんだぜ?」
「んー?どぉーしたの、重衡ぁー?」
「いえ、ちょっと・・・還内府殿が羨ましくて・・・」
「羨ましいー?重衡もぎゅってして欲しいのぉー?」
「はい」
「ん、じゃあぎゅーってしてあげる」
姫君のあたたかな身体。
首に回される細い腕。
「ぎゅー」
可愛らしい姫君。
愛しい存在。
私の心を捉えてやまない存在。
「重衡ぁー嬉しい?」
「はい、とても嬉しいです」
「そっかぁ・・・私も喜んでくれて嬉しいよー」
にっこりと微笑む姿。
桜に劣ることのない美しさと儚さ。
そして、強さ・・・
全てがこの姫君には備えられている。
「ん、もう一回・・・ぎゅー」
「・・・少々、飲ませすぎてしまったようですね」
男を誘う甘い声。
甘やかな声音。
私だけのものにしてしまいたいという淡い想いを胸に抱いてしまう。
それが許されるはずもないことだと知りつつも・・・
「あーっ重衡取っちゃやぁー」
「これ以上はいけません」
「やー、もっとぉー」
盃を奪えば姫君の手が伸びる。
でも、これ以上はいけませんね。
「還内府殿、これをお願いしますね」
「あ、あぁ」
「将臣ー返してー」
「ダメだ」
「ダメじゃないのぉー」
「・・・どうするんだよ・・・お前等の責任だぜ?」
「責任・・・ですか」
「責任なら取るさ・・・」
「・・・お前が言うと洒落になんねぇ・・・」
「兄上。あなたひとりのものではありませんよ、この姫君は」
「クッ・・・わかっている・・・さ」
「隙ありぃー」
「うわっ!」
「ふふふー将臣、隙を見せちゃいけないよぉー」
「姫君、いけませんよ」
「だめぇー今度は取られないもんねぇー。知盛ー注いで注いで」
「・・・・・・御意」
「兄上」
「クッ・・・別に構わんだろう?」
「明日コイツが二日酔いにでもなったらどーすんだよ」
「その時は・・・その時・・・さ」
「、もう止めましょうね」
「むぅー重衡の意地悪ぅー」
「意地悪・・・ですか。しかし、姫君は意地悪なこの男がお好きなのでしょう?」
「うぅ・・・そういうところが意地悪なんだよぉー・・・」
「姫君がいけないのですよ」
「どぉしてー?」
「さぁ・・・それはご自分でお考え下さいね」
† 私に微笑んで? †
(あぁ、愛しくてとても・・・ずるい姫君。)
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