† あのまま幸せな時をすごして居たかったのに †
「買い物行きたい!!」
「はぁ?」
「お買い物!髪飾りとか欲しい」
そりゃ・・・知盛とか重衡とか将臣が用意してくれたものいっぱいあるけど・・・
やっぱり自分で選んだものも欲しいじゃない。
もちろん、三人が用意してくれたものも大好きだけど・・・
「じゃあ行くか?」
「市に?」
「あぁ、ついて行ってやるぜ」
「やったー!将臣、ありがと!」
「・・・俺も行く」
「私も行きます」
「知盛に重衡?いつの間にいたのー?」
さっきまでこの部屋には私と将臣しかいなかったよね?
それなのに、先ほどからいたかのような二人の姿。
「渡殿のを歩いているとの声が聞こえましたもので」
「あーそんなに大きな声だった?」
「いいえ、とても可愛らしいお声でしたよ」
・・・・・・重衡ー?
ちょっとズレてませんか?!
まぁ・・・いっか。
悪いこと言われてる訳じゃないし。
「・・・・・・髪飾りが欲しいのか?」
「ん?うん、欲しい」
びっくりしたー・・・
知盛、そんなところ聞いてたんだね。
「・・・俺が贈った物の中にもあったはずだが・・・?」
「うん、あったね」
綺麗な花簪が。
すごく綺麗で、つけるの勿体ないなぁーなんて私付の女房さんと話してたし。
「・・・気に入らなかったのか?」
「ううん、すごく綺麗でお気に入り」
「・・・・・・」
「あのね、三人が贈ってくれた物が気に入らないとかそんなんじゃないの」
寧ろ、本当にすごくお気に入りばっかり!!
ここまで私の趣味に合わせたもの贈ってもらったことないし!!
「ただね、どうせなら・・・大好きな人たちみんなと選びたい」
うん、きっとそうなの。
確かに贈り物全て彼等が選んでくれたものらしい。
でもね、幾ら私の趣味に合っているからと言って・・・
私が選んだわけじゃない・・・っていうのが淋しかったの。
こんなの我侭だってこともわかってるけど・・・
「そうですか、では行きましょうか」
「え?」
「市、行くんだろ?」
「あっうん」
「牛車は必要か?」
「いらない、いらない。歩いて行こう?」
あーでも、この三人と歩いてたらカナリ目立つ?
・・・・・・まぁいっか。
だってまだ、平家は安泰だもの。
だから大丈夫、まだ、大丈夫・・・・・・
† あのまま幸せな時をすごして居たかったのに †
(でも、確実に滅亡への道を辿ってるんだ。)
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