† 歪んだ愛でも私達は幸せなんです †










「どいて頂戴」


「・・・・・・」




突然現れるのは勝手に許婚などと言っている女。

ご丁寧に公式の婚約者であるにまで敵意を向けている。




「知盛様、重衡様、月見酒でしたらこのような下位の者よりも私となされば宜しいのに」


「・・・黙れ」


「・・・知盛、重衡。私なんかお邪魔みたいだし・・・あっちのお部屋に行ってるね」


「あぁ・・・」


「えぇ・・・そうですね」




ここにいてもの怒りを増長させるだけだろうからな・・・

たまには怒りの言葉を聞いてやってもいい、この女が消えてから。

寧ろ、見たいな・・・

の怒りに満ちたその美しい表情を・・・




「後でまた来い、重盛兄上と共にな・・・」


「後で一緒にお話いたしましょうね」




が暴れだせば止める人間が必要だからな・・・

重盛兄上には止め役になっていただこう。

重衡よりも重盛兄上のほうが止め役としては適しているから、な・・・




「まぁ、重盛様も今お呼びになりましょう。そのほうが宜しいですわ」




名案とも言うように、隣で酒を持つ女が言う。

まるで媚びるような瞳を向けながら。




「・・・貴様に命令される覚えは無い」


「まぁ・・・知盛様はお優しいのですね」


「・・・・・・」


「知盛様のお優しさを無碍になさるつもり?やはり下賎の者ですわね」


「・・・・・・はいはい、わかりましたよーっだ。呼んで来ればいいんでしょ」




クッ・・・怒りに満ちているな・・・

美しい獣のような瞳、だ。

相変わらず面白い女だなぁ・・・




















◇◇◇





















「将臣ーちょっといい?」


「おーどうしたー?」




一人で酒でも飲むかななんて思っているところに現れるのは

何か怒ってる気がするのは気のせいか・・・?




「あのね、今すぐ来て」


「はぁ?」


「私、あの女嫌い」




にっこりと絶対零度な笑みを浮かべてる。




「だから、今すぐ来て」


「一体何があったんだー?」


「知盛と重衡の許婚なんて勝手に言ってる女が重盛様も呼んで来いって言うの」


「はぁ?あいつ等、お前以外に許婚なんているのかよ?」


「だから、勝手にって言ってるでしょ?許婚がいる男なんて私は嫌」


「悪い悪い、そんなに怒るなよ」


「怒ってないもん」


「怒ってるだろーが」




顔も綺麗なんだよなーは。

だから、怒ればそれなりに迫力がある。




「早く来てよ、私がまた嫌味言われる」


「はいはい」




















◇◇◇





















「知盛、重衡。連れて来たよ」


「あぁ、こちらへ・・・」


「あなたはもう下がっていいわよ。ふふ、お役目ご苦労様」


「・・・・・・はいはい」


「待て」


「・・・知盛様?」


「下がる必要などないさ・・・」


「しかし知盛様、ここには下賎の者などいても仕方がありませんわよ」


「ほう・・・が聞いてはならぬ話でもするおつもりか?」


「私たちの将来のことを重盛様にも聞いていただかなくてはいけないでしょう?」


「重盛兄上にも色目を使っていらっしゃるとお聞きしておりますが?」


「あーそういえば、見たなその顔」


「・・・あら、しかし平家にとっては我が家との繋がりを深めるのは宜しいことでしょう?」


「必要ないな」


「何ですって?」


「貴様はそこにいるを侮辱したからな・・・」


「あら、何処の馬の骨かもわからないこの方をお庇いになられるの?」


「あぁ・・・当然だろう?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「このような下賎の者をお庇いになられても意味はございませんのに」


「出て行け」


「え?」


「貴様などがいては酒が不味くなる」




この女の馬鹿なところは知盛を理解していないことだな。

コイツはのこととなると特に機嫌が悪くなるんだよなぁ・・・

っていうか実は重衡もだよな。

重衡は絶対零度の微笑を浮かべている。

こいつ等色んな意味で怖ぇ・・・




「失礼な!」


「あぁ、失礼で結構」


「このことはお父様に言いますからね!」


「勝手にすればいいさ・・・」




怒って出て行く女。

ある意味より怖ぇ・・・




「おいおい、いいのかよ?」


「何がだ?」


「何がでしょうか?」


「お前等の立場も危うくなるんじゃねぇーのか?」


「別に構わないさ」


「えぇ、構いませんよ」


「全く、何なのよあの女」


「そういやあの女、のこと知らないのか?」


「あぁ、知らないなきっと・・・」


「私有名人じゃないしー」


「・・・俺たちの公式の婚約者だろ?」


「そうだけどー基本的に平家の中でだけだし。婚儀もしてないし?」


「ふふ、婚儀でしたらいつでも出来ますよ?」


「うん、わかってる。でも・・・私はもっともっと三人の愛が欲しいの」


「ははっ我侭姫」


「我侭姫で結構。知盛、注いで」


「クッ・・・どうぞ我が姫君」


「あーでも、ちょっとまずいっぽい?あの女、実は結構な地位をお持ち?」


「お前のことを手荒く扱ったからな・・・仕方あるまい。父上も納得なさるだろう」


「えぇ、私の姫君を手荒くお扱いになられたことは許されません」


「お前等、結構適当だよな・・・」


「重衡はともかく、真面目に働いてる知盛なんて想像できないでしょう?」


「・・・確かに」


「真面目な時はすごく真面目だけどね・・・でも、この通り面倒は嫌いだもの」


「それは・・・お前もであろう?」


「もちろん、このことについても巻き込まないでね」










† 歪んだ愛でも私達は幸せなんです †

(女って怖ぇー・・・けど、男も十分怖いな。)



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