† 刃物が怖くて剣が握れるか †
「知盛ー知盛ー知盛ー!!」
「・・・何だ?」
「私にも剣を教えて欲しい!!」
「剣だと・・・?」
「そう、剣。剣術」
「何故?」
「私も一緒に戦いたいから」
「戦う?お前がか?」
「そう、私も一緒に戦いたい」
・・・妙なことを言い出す女だな・・・
普通の女ならば、言い出しはしない言葉。
剣の教えを請う言葉。
「俺は・・・甘くないぜ?」
「わかってる、って言うか・・・甘いほうが困るでしょ?」
「・・・・・・」
「知盛が厳しいことはちゃんと分かってるよ、将臣も言ってたし」
「俺に習うよりも・・・」
重衡のほうが・・・と言おうとして止めた。
この女に剣を教えるのも悪くはないからな・・・
内に秘める炎を感じさせる女。
「いや、俺が教えてやろう」
「ホント?!」
「あぁ・・・」
「やった!知盛、ありがと」
「その代わり・・・手加減はしないぜ」
「うぅーそうだよねー・・・うん、頑張る」
頑張る・・・か。
あまり好きな言葉ではないはずだが・・・
この女が発するその言葉は嫌いじゃない。
「初めの内は手加減もしてやるさ」
「あはは・・・そうしてもらえると助かる。いきなり知盛と剣交えるとか言われたら死を見るから」
「殺しはしないさ・・・」
「・・・・・・」
「お前は俺の女だからな・・・」
「本気なのー?」
「あぁ・・・本気だぜ」
「でもーいきなりプロポーズされても簡単にはお受けできないよー」
「そういうものなのか?」
「んー・・・私的にはそういうもの!いっぱい恋愛してから結婚したい!」
恋愛・・・か。
「知盛って恋愛したことあるー?」
「・・・・・・お前の語る恋愛とはどんなものだ?」
「ん?恋愛?えっとねー幸せな気持ちになれるの」
「・・・・・・」
「手を繋いだり、ぎゅってし合ったり・・・とにかく、一緒にいる倖せを感じられることかな」
「倖せ・・・か」
「ちなみに愛のない逢瀬は含まれません。愛がないのは嫌」
「・・・ならば、お前を愛せば・・・俺の女になるのか?」
「うーん・・・その言い方は微妙だけど、愛は欲しいよ」
「・・・手強い、な・・・」
「とりあえず、知盛が私のこと愛してくれたら私は嬉しいよ」
「お前は・・・俺を愛するのか?」
「うん、愛しちゃってる。本物見て尚更そう思ったもん」
「そうか・・・」
† 刃物が怖くて剣が握れるか †
(可笑しな女だ・・・な。)
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