† まさか俺がお前なんかに夢中になる日が来るとは思ってなかった †
知盛の上に落ちて来たのは妙な女だった。
その女がいつの間にか気になって・・・
そのまま話は流れに流れて三股かけられることになった。
まぁ・・・そんなことは別にいいんだけどな。
「とりあえず、持ち物整理しよう」
「整理?」
「そう、道の途中でいきなり引っ張られて?・・・それでここに来たんだもん」
の鞄の中には・・・所謂ここにあるはずのないものが多数。
って言うか・・・食べ物率高くねぇ?
飴やらガムやら・・・チョコレート?
・・・・・・殆ど菓子じゃねぇーか。
「今日は偶然お菓子いっぱい持ってたんだよねー」
他にも携帯、充電器・・・
それにペンケースにノートか。
「携帯って持ってても使えないねー」
「まぁそうだな、持ってる奴いねぇーし」
「将臣は?」
「俺のはどっか行っちまった」
「そっかぁー残念」
「って言うか・・・この世界にありえないものばっかだよな?」
「うん。でも使えそうなものいっぱいだよ。電子辞書とか」
「まぁそうだな」
「これ、広辞苑とか入ってるから・・・歴史がわかるね」
「あー確かに・・・それは使えるな」
「あと、私・・・この世界にうまくリンクするかはわからないけど・・・これから起こり得ること大方わかるから」
「歴史か?」
「うん、まぁ・・・そんな感じ。ただし、正直自信ない部分も多々あるの」
「それは俺も同じだ」
「でも・・・出来る限り、私も協力する」
「・・・サンキュ」
「私、好きだもん。将臣のことも知盛のことも重衡のことも」
「ははっ・・・お前って結構欲張りだろ?」
「バレた?って言うかー三股の時点で欲張りだよね」
「まぁ・・・それはいいんじゃねぇ?俺たちも納得してるし」
「納得するのもおかしいよねー」
確かにそうだよな。
まぁ・・・この時代なんでもありだろうし。
要は俺たちの気持ちの問題だよな、きっと。
「斬りあうことがなかっただけ良かったと思ってくれ」
「あははー一人でもいなくなったら私、嫌だよ」
「ったく・・・欲張り」
「欲張りですよー」
軽口を叩く。
まぁ・・・知盛とはよくある光景だけど・・・
なんだろうな、この心地よい雰囲気。
「そういえばー将臣は剣の修行中?」
「あぁ、知盛に教えてもらってな」
「そっかぁー・・・知盛厳しい?」
「厳しいぜー毎回殺されそうになる」
「あは。だからより強くなれるんだね、将臣は」
「そうだといいけどな・・・」
「私も教えてもらおうかなぁー・・・」
「剣をか?」
「うん」
「・・・・・・」
「だって戦乱の世だし?戦えないと・・・自分も大切なものも守れないでしょ?」
「・・・俺が守る、お前のこと」
「将臣が?」
「あぁ・・・まだ頼りねぇかもしれないけど・・・さ」
「・・・ありがと、でも・・・守られてるだけっていうのは嫌」
「・・・」
「足手纏いになっちゃうこと前提だけど・・・私も一緒に戦いたい」
「ははっ・・・お前、いい女だな」
流石俺らが惚れた女。
一目で惹かれ、この状態。
それでも、後悔はない。
「知盛に言ってみろよ、多分教えてくれるんじゃねぇか?」
「うん、言ってみる」
「でも・・・無理はするなよ」
「はぁーい」
† まさか俺がお前なんかに夢中になる日が来るとは思ってなかった †
(・・・まさか、この世界で好きな女ができるとはな。)
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