†　とても、懐かしくて暖かな感じ　†











｢いらっしゃい、兄貴。・・・と、もしかしてさん？｣


｢は、はい！｣


｢よく覚えてたな、幽｣


｢そりゃ覚えてるよ｣




兄さんが初めて彼女だって俺に紹介してきたのがさんだからね。

もっとも・・・別れたって聞いたけど、また付き合いだしたのかな？




｢兄貴｣


｢ん？｣


｢おめでとうで合ってる？｣


｢・・・・・・あぁ｣


｢そう、よかったね｣




やっぱり、また付き合いだしたんだね。

そうじゃなきゃ、うちに一緒に来るなんてこともないだろうし。

それに、俺は兄さんがずっとさんのことを好きだったのも知ってるから。




｢サンキュ｣


｢で、さっき言ってた花とか羽根ってそれ？｣


｢あぁ、置かせてもらって大丈夫か？｣


｢うん。事務所に持っていくよ｣


｢は？｣


｢写真集の撮影に使えそうだし｣


｢え、写真集出るの？！｣


｢うん、まだオフレコだけどね｣


｢買う！絶対に買うから！！｣


｢・・・兄貴にさんの分も送るから買わなくていいよ｣


｢え？｣


｢兄貴の恋人ってことは俺の姉みたいなものだし｣


｢い、いいの？！｣


｢うん｣


｢シズちゃん、どうしよう。どこから喜べばいい？！｣


｢は？｣


｢幽くんの言ってくれたこと、どれも嬉しくて・・・！！｣




・・・なんか、可愛い人だよね。

さんって。

昔逢った時とあまり変わってない。




｢あっ幽くん。ケーキ食べよ？色んなの買って来たから！！｣























◇◇◇























｢シズちゃん、シズちゃん！やっぱり幽くんカッコいいね！｣




さすが俳優さんだね！

なんか、やっぱり雰囲気あるし・・・

オーラが違うって言うか・・・！！

とにかく、超絶カッコよかった！！




｢おーい、シズちゃーん。なんか眉間に皺寄せて超絶不機嫌な感じなんですが｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・あんま、他の男のことカッコいいとか言うなよな｣




可愛い・・・！！

シズちゃんが超絶可愛いんですが・・・！！




｢別に幽はいいんだけどさ｣


｢あ、幽くんはいいんだ？｣


｢弟だしな。それに身内が褒められるのは嬉しい｣


｢シズちゃん、シズちゃん、だいじょーぶ！私はシズちゃんがこの世で一番カッコいいって思ってるから！！｣


｢なっ｣


｢だからね、シズちゃん。嫉妬なんてしなくてもだいじょーぶだよ！｣


｢嫉妬なんかしてねぇ・・・｣




なんて言いながらも顔は苦虫を潰したような顔。

シズちゃんってホント可愛いよね！

むしろ、私はシズちゃんの可愛さに嫉妬しちゃいそうだよ！！




｢てか、男の嫉妬なんて見苦しいだろ｣


｢その他大勢の男だったらね！でもシズちゃんは別枠！｣


｢は？｣


｢シズちゃんの嫉妬は嬉しいよ？だってそれだけ私のこと大好きってことでしょ｣




好きじゃなかったら嫉妬なんてしないよね？

もちろん嫉妬で愛を測る気はないけど！




｢・・・そうだけどさ｣


｢それにシズちゃんの嫉妬はなんか可愛いよ｣


｢は？｣


｢だからシズちゃんの嫉妬は嬉しいからいーんです！｣


｢・・・お前は、｣


｢ん？｣


｢お前は嫉妬とかしねぇーのかよ｣


｢するよー。女だったらセルティ以外の女全員にね！｣


｢なんだよ、女だったらってくくりは｣


｢んー。私が一番嫉妬してるのは臨也だもん｣


｢・・・・・・は？｣


｢そりゃ、シズちゃんの女性関係知らないからわかんないけど・・・シズちゃんの脳内占めてるのは間違いなく臨也だもん｣




あーホントムカつくなぁ！！

臨也ムカつく。

シズちゃんの脳内占めてる割合が絶対大きい、ずる過ぎる。

もちろん、私が臨也に負けてるなんて思ってもいないけどね！！




｢何言ってんだよ｣


｢えぇー私は毎日臨也に嫉妬してるんだよー｣


｢・・・あー胸くそ悪ぃ、ノミ蟲ぶっ殺してぇ｣


｢ほら、やっぱり臨也が脳内占めてるじゃん！！｣


｢ちゃんよぉー一発殴ってやろうかぁ？！｣


｢私、そんな頑丈じゃないから遠慮させてー｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣


｢あのね、シズちゃん。男の嫉妬は見苦しいっていうけどね、女の嫉妬も相当なものだと思うよ？｣


｢そーいうもんなのか？｣


｢うん。だからね、私は臨也に嫉妬してるくらいがちょうどいいんだよ｣




だって、臨也への嫉妬は少々歪んだ感じだし！！

私の中では女に嫉妬するのとはなんか違うって思ってるもん。




｢さて、シズちゃん。相談なんだけど、そろそろご飯の時間じゃないですか？｣


｢さっき幽のトコでケーキ食ったじゃねぇーか｣


｢ケーキは別腹なんです！｣




まぁ、そんなこと言ってたら痛い目に遭うんだけど。

でも、女の子としてはケーキとか甘いものは別腹だって思い込んで食べたいものなんです！




｢・・・というわけで、夕食食べに行こうーー！！｣


｢もう作んねぇのか？｣


｢へ？｣


｢昼みたいにさ｣


｢や、作ってもいいんだけどさー。私、レパートリーも何もないわけでですね｣




私は池袋に来るまでは実家で甘やかされて過ごしてきたんですー。

仕事から帰ったらご飯が用意されてるっていう幸せな毎日だったんです。

だから、正直な話・・・

料理は無理です。

高校のときの調理実習が本格的な料理の最後だと思われます。




｢手伝うから、飯作ろうぜ｣




あーもう、シズちゃんズルイ！！

そんな素敵な笑顔で言われたら断れないじゃないですか！！！











†　とても、懐かしくて暖かな感じ　†

(まぁシズちゃんも手伝ってくれるって言ってるし、なんとかなるでしょ！)

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