† あっちもお前が好きなんだしお前もアイツが好きなんだろうが †
「もしかしてアンタが静雄の待ち合わせの相手か?」
「え、あ、はい。おにーさんは誰ですか?」
「静雄の同僚だ」
「なるほど。シズちゃんがいつもお世話になってます」
・・・なんていうか、想像と違ったな。
カナリ可愛くはあるが、普通の女の子。
静雄の力に耐えられる力も持ってるようには思えないし・・・
むしろ、ひ弱そうだよな。
「ん?どーしました?私の顔になんかついてますか?」
「いや、静雄から少し話は聞いてたんだが、ちょっと想像と違ってな」
「えーシズちゃんなんて言ってたんですか?」
「言ったら静雄がキレそうだからやめとくわ」
「あはっなんか否定できないからわかりましたー!とりあえず、悪口じゃないですよね?」
「あぁ」
「それならいーです」
いい子そうな普通の女の子だよな・・・
それこそ、盗聴器なんぞつけられることもなさそうな普通の女の子。
「あ、私はって言います」
「あぁ、俺は田中トムだ」
「えっと、シズちゃんの高校のときの同級生で、今は池袋で会社員してます」
「その辺のことは今日、静雄から聞いたべ」
「あ、そーなんですか。じゃあ、私がシズちゃんに振られたことも聞きました?」
「は?」
静雄に振られた?
静雄が振られたわけではなくか?
いや、待て。
静雄は今でもこの子に片想いしてるって言ってたよな?
「あ、もしかして聞いてませんでした?」
「いや、付き合ってて別れたってことは聞いてたが・・・」
静雄が振ったとは聞いてない。
まぁ、振られたとも聞いてないが・・・
片想いしてるって言うからてっきり振られのかとばかり思ってたんだよな。
「私は今でもシズちゃんのことが大好きなんですけどね」
しつこいですよね。
なんて言ってちゃんは笑った。
・・・なんだよ。
相思相愛じゃねぇーか。
「あ、でもシズちゃんには内緒にしててくださいね」
「あぁ」
「さてと、じゃーそろそろ止めてきますね!お腹も空いてきましたし」
「ちょっと待て、止めるってあの二人をか?」
「はい。器物破損とかひどいことになってるんでそろそろ止めないと」
「やめとけ。怪我するぞ」
「だいじょーぶです、慣れてるんで」
「は?」
「あーでも、5年くらいブランクあるからうまく行く保障はないんですけどねー。あ、これ持っててもらえます?」
俺に二つのカップを渡してちゃんは、
戦争ともいえる喧嘩をしている二人に向かって歩き出した。
いや、マジ怪我ですまねぇことになる!!!
「はい、ストーップ!」
二人がお互いに突っ込もうとした瞬間、二人の間にタイミングよくちゃんが入る。
・・・あぁ、無残な光景が・・・
起こらない・・・?
寸でのところで折原臨也がちゃんを引き寄せて静雄の攻撃を避けたんだな。
・・・まさか、ちゃんはこうなることを読んでいたのか?
「全く・・・君の無謀さは相変わらずなんだね」
「悪ぃ・・・怪我とかしてないか?」
「ないない、だいじょーぶ」
とりあえず、
静雄の好きな女は・・・普通の女ではないみたいだな・・・
◇◇◇
「あ、トムさん。ありがとうございます」
「いや、」
「じゃあ、俺は新宿に帰ろうかな。にも逢えたし」
「二度と来んな!!」
「別にシズちゃんに逢いに来るつもりはないよ」
「あ、臨也」
「何?」
「キャラメルマキアート忘れてる」
「もういいよ、あげる」
「え、いらない」
「じゃあ捨てておいて」
「いや、勿体無いし。私にはカフェモカがあるし」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あーあ、君がそんなに簡単に折れてくれるわけがないか」
だから、俺は自分が注文したキャラメルマキアートではなく、
がさっきまで飲んでいたカフェモカを奪う。
「あっちょっと!そっち私のカフェモカ!」
「飽きたから交換してよ。俺が買ってあげたんだし」
「えぇー・・・まぁいっか」
「・・・ちゃん」
「はい?」
「静雄がキレそうなんだけど」
シズちゃんってホントわかりやすいよね!
俺のこと嫌いだし、はで俺と普通に会話してるしで怒りが沸点に達した模様。
「あーシズちゃん落ち着いて。ほら、キャラメルマキアートでも飲んで」
「!テメェわざと言ってんだろ!!!」
「あはっばれたー」
「・・・ったく」
「ねっねっシズちゃん。臨也なんて無視してお寿司屋サン連れて行ってくれるんでしょ?」
「・・・あぁ、」
「ほら、行こうよー!あ、トムさんも一緒に行くんですよね?」
「・・・いいのか?」
「はい、もちろん。シズちゃんのお仕事中の話でも聞かせてくださいね!」
「ねぇ、俺完璧無視されてない?」
「あ、臨也まだいたんだ」
「あぁ!本当に君はムカつく子だなぁ!」
「その言葉そっくりそのまま返してやる」
「まぁいいよ。またね、」
「またなんてねぇ!!!」
「シズちゃんには言ってないよ」
ホント男の嫉妬って見苦しいなぁ!
† あっちもお前が好きなんだしお前もアイツが好きなんだろうが †
(ちなみに、家に入れる理由は合鍵勝手に作ったからだよ・・・言わないけど)
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