† 結局俺はアイツが好きなんです †
「眠そうだな、静雄」
「すみません、トムさん」
「寝不足か?」
「はい、昨日ちょっと・・・・一睡もできない事態がありまして」
「は?」
「好きな女が隣で無防備に寝やがってたんですよ。しかも、寝ぼけて抱きついてきて蛇の生殺しってやつっす」
「ちょっと待て静雄。お前からそんな話、俺は初めて聞いたぞ」
静雄にもとうとう春が来たか?
まぁ見た目は悪くねぇし、モテねぇこともないよなぁ。
黙ってれば・・・というか、キレなければいい線いってるだろうしな。
問題は、キレなければってところだろうが。
「いや、昨日突然だったんで・・・でも、なんとかなるもんなんすね、理性って」
「まさか静雄からそんな話を聞くことになるとはな。彼女、どんな子なんだ?」
これは聞いてみても大丈夫だよな?
静雄の彼女がどんな子なのかは俺も気になる。
この際、惚気でも何でも聞いてやる!
「いや、彼女じゃないっす。・・・長年片想いしてるんで」
「なんでまた、片想いの相手が隣に寝るなんて展開になったんだ?」
「・・・それは、色々ありまして。さすがに盗聴器が仕掛けられてるかもしれない家に一人でいさせるわけにもいかずで」
「どんな子なんだよ・・・」
「普通の女ですよ。俺の高校時代の同級生で、会社員してるみたいです」
「普通の会社員が盗聴器はないだろ、盗聴器は」
「いや・・・それが否定できないんすよね。隣に引っ越してきたんですけど、部屋に花やら羽根やら散りばめられてたんです」
「は?」
「まぁ、誰がやったかはわかってるんですよ、わかってるんですよ・・・」
バキっと、
ありえない音が響く。
このテーブルそろそろ買い替えどきかもしんねぇーな・・・
「静雄!事務所の備品壊すな!!」
「あ、すみません」
とりあえず、誰がやったかはタブーみたいだな。
「でも、その盗聴器やらがありそうな部屋どうするつもりなんだ?」
「あぁ、なんか頼むみたいです。知り合いに」
「どーいう知り合いだよ」
「基本的に交友関係は広い奴なんで。多分、何とかなると思うんですけどね」
「なんていうか、逢ってみたいわ」
色んな意味で。
まず、静雄の隣で寝れるだけでも普通ではないよな。
しかも、盗聴器やらつけられるし、何とかできる交友関係とか・・・
とりあえず、ただの女ではなさそうだよな。
「あ、じゃあ今日夕飯食べる約束してるんで来ますか?」
「いや、好きな女なんだろ?さすがに邪魔するわけにはいかないさ」
「あ、気にしないでください。今更二人きりとかあんま気にしないんで」
「気にしろよ」
「付き合ってるときもそんな二人きりとかなかったんで今更って感じですし」
「は?ちょっと待て静雄」
「はい?」
「付き合ってる時って・・・」
「あー高校のとき、一年くらい付き合ってたんですよ」
「その片想いの相手とだよな?」
「はい、まぁ・・・色々あって別れたんですけどね」
「そうか・・・」
振られたんだよな、きっと。
でも、静雄は今でもその子のことが好きで・・・
「静雄、今日は夕飯奢ってやるべ」
「いや、悪いっすよ!!」
「どこ行くつもりなんだ?」
「サイモンのトコ行こうと思ってます」
「よし、その彼女の分も奢ってやる。好きなだけ飲んで食え!」
◇◇◇
「ハンズってどこよ、ハンズって」
待ち合わせは7時にハンズ前。
池袋の。
・・・・・・ハンズなんてどこにあるのよ・・・!!
絶対わかると思ってたんだけどなぁ・・・出口間違えたかな。
「そこの綺麗なお姉さん、お暇っすか?」
「ごめん、暇じゃない」
「そうっすか・・・残念」
「正臣、手当たり次第に声かけるのやめなよ・・・」
「間違ってるぞ、帝人!」
「え?」
「俺は決して手当たり次第に声をかけているわけではない!」
「ねぇ、君たち。ちょっと教えて欲しいんだけど」
「なんですか?はっ!もしかして俺の連絡先とか!」
「んーん、ハンズってどこ?」
「あ、ハンズなら西口じゃなくて東口のほうですよ」
「あーなるほど、やっぱり反対方向だったか。ありがと、助かっちゃった」
よし、じゃーとりあえず駅まで戻って東口から出ればいいよね。
まだ時間に余裕もあるし大丈夫。
よかったよかった、ちょうどいいところに来良の子が通ってくれて!
「ホント、ありがとねー!」
「「どういたしまして!」」
† 結局俺はアイツが好きなんです †
(そーいや、来神って来良になったんだよねー。あの制服懐かしいなぁー)
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