† 優しい君、優しすぎて傷つけてしまった †
「・・・ん、」
「あぁ、起きたかい?」
「ここ、どこ?」
「僕の家さ。何度か来たことあるだろう?」
「あーホントだ」
「セルティー。が起きたよ」
「ホントか?!」
「ほら」
「セルティだぁー」
「大丈夫か?痛いところとか身体がだるいとか・・・」
「だいじょーぶだよ」
「そうか・・・」
ありがと、セルティ。
やっぱりセルティは優しいね。
私みたいにドロドロとした感情、セルティにはあるのかな?
「・・・あぁ、肩の包帯も替えないとね。どうせ君、自分では何もしないだろうし」
「うん。・・・ねぇ、新羅」
「何?」
「私とシズちゃんってもう終わった関係になっちゃったのかなぁ」
「・・・」
「わかってるんだよ、シズちゃん優しいから」
シズちゃんは優しい。
私のこと一番に思ってる。
だからこそ、別れることを望んだ。
わかってるのに、シズちゃんが優しいことわかってるのに・・・
私はそれを拒絶しようとした。
なんて、自分勝手な考え。
私はただ、シズちゃんと一緒にいたかった。
ただ、それだけ。
「傷は痛むかい?」
「痛いよ、とっても」
私の肩の傷。
臨也のナイフが刺さって傷ができた。
本当なら、臨也のナイフが刺さるのはシズちゃんだった。
でも、私はそれが嫌でシズちゃんに臨也のナイフが刺さるとか絶対に嫌で・・・
だから、シズちゃんの前に立って臨也のナイフに自分から刺さりに行った。
そのときのシズちゃんの叫び声と、
臨也の焦った顔が今でも耳と目に残ってる。
「あの時は俺も驚いたよ。臨也が臨也とは思えないくらいに焦って俺に電話をかけてきたからね」
「臨也もびっくりしたいんだと思う。まさか、刺さってくるとは思わないもんね」
「君は臨也の予想外の行動をとったんだろうね」
「ある意味私の勝ちかな。あーでも、やっぱりこの結果は負けかな」
結果的に、私はシズちゃんと別れることになった。
お互いにすごく好きなのに、ね。
臨也の思惑通りといえば、その通りかな。
きっと、こんな風に別れることは望んでいなかったとしても・・・
臨也は私とシズちゃんが別れることを望んでいたから。
だから、結果的に臨也の勝ち。
「あー痛いなぁー。この傷、痕残るかな」
「恐らくね」
「そっか・・・シズちゃん気にするだろうな」
ついでに臨也も。
「でも、君はそれが嬉しいんだろう?」
「・・・・・・」
「大好きな静雄が君の傷を見るたびに、君である意味満たされることになる」
「あーあ、新羅、なんでそんな意地悪言うかな」
全く持ってその通りだから反論もできやしない。
シズちゃんは私の傷を見るたびに傷ついて、悲しい気持ちになって、後悔して、私で満たされる。
シズちゃん、優しいから。
きっと忘れることなんて出来ないし、私を見るたび傷つくんだ。
私がずっとシズちゃんを傷つける。
「私はね、ずっとシズちゃんのことが大好きなの」
「わかってるよ」
「ねぇ、新羅。臨也殺したらまた今までどおりシズちゃんと一緒にいれるかな」
「・・・それは、難しいかもね」
「やっぱり?あーでも、私、臨也に逢ったら絶対に言っちゃいそう。・・・臨也死ねって」
「ははっそれはさすがに臨也も堪えるかもしれないね」
「私、シズちゃんに対しては今までどおりに接してもいいんだよね」
「あぁ、きっとそのほうがいいと思うよ。君にも、静雄にも」
「ありがと、新羅。じゃー私そろそろ帰るね」
「送っていくよ」
「いいよー別に。セルティもお邪魔しました!今度またゆっくりお話しよーね」
「・・・あぁ、楽しみにしてる」
◇◇◇
「シズちゃーん!おはよー!」
「・・・あぁ、おはよ」
「あのね、明日マックフルーリーの新しい味が出るらしいよ!一緒に食べに行こう?」
「・・・・・・」
「別にこれくらいいいでしょ?恋人じゃなくても、ね」
「・・・・・・あぁ、そうだな」
「あっでも、半分こは絶対だからね!」
† 優しい君、優しすぎて傷つけてしまった †
(私、頑張ったよね?・・・・・・恋人じゃなくても、シズちゃんと一緒にいたいんだもん!)
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