† さよならさよなら、別れの言葉で全てを断ち切る †
「別れてくれ。やっぱダメなんだ」
別れたくない。
ずっと一緒にいたい。
俺が初めて守りたい、愛したい、大切にしたいって思った彼女。
それなのに、別れなくてはいけない。
傷つけたくないんだ。
好きだから。
俺が傍にいたらを傷つける。
だから・・・
「この怪我のことなら気にしないでよ、シズちゃんが悪いんじゃないし」
「・・・・・・」
「ねぇ、別れるなんて言わないでよ」
でっけぇ目に涙があふれては頬を伝う。
泣かせたのは俺。
だから、俺はその涙を拭ってはやれない。
・・・泣かせたくないって、いつも思ってんのにな・・・
結局、いつも泣かせちまう。
「・・・ごめん」
謝ることしかできない。
別れなくない。
叶うなら俺はずっと、と一緒にいたい。
でも、このまま付き合ってたらは壊れちまう。
多分、俺と臨也がのことを壊しちまうんだ。
「ごめん、な」
「シズちゃん・・・やだよ、やだぁ、やだぁ!!」
「ごめん」
「謝んないでよ。いつもみたいに笑ってよ・・・!」
「ごめん」
「・・・んっ・・!!」
唇を塞ぐ。
ごめんな。
俺は謝ることしかできなくて・・・
ごめんな。
俺は逃げることしか出来なくて・・・
唇伝いにに薬が流れていく。
即効性の睡眠薬として、新羅によって調合されたもの。
ごめんな、俺はそれに頼ることしか出来なくて。
への謝罪の言葉が頭を駆け巡るうちにどんどん、俺を掴むの力が抜けていく。
「ずっと俺はお前を愛してるから」
唇を離してそう呟く。
の目は閉じられてもう俺を映してはいない。
ただ、閉じられた目から溢れた涙が頬を伝う。
「静雄」
「・・・新羅か」
「薬、効いたみたいだね」
「あぁ、悪かったな。いきなり頼んで」
「いや、いいよ。も俺の大切な友達だからさ」
「サンキュ」
「静雄、本当に君はこれでよかったのかい?」
「あぁ。好きだから・・・のこと壊したくねぇーんだ」
「静雄がそういうなら俺はもう何も言わない。てか、結局臨也の思い通りか」
「いや・・・どうだろうな」
「え?」
「気のせいだと思うんだけどさ、臨也の奴もここまでは思ってなかったんじゃねぇかと思う」
「つまり、邪魔はするけどこんな風に別れさせる気はなかったってこと?」
「わかんねぇーけどな。てか、わかりたくもねぇー!!!」
◇◇◇
「なんでシズちゃんそういうところは鋭いんだろ」
全く持ってその通りだ。
俺はシズちゃんとをこんな風に別れさせる気はなかった。
そんなことしても俺が面白くないからね。
シズちゃんとが付き合ってるからこそ、壊しがいがあるってもんだ。
そうだ、俺はシズちゃんの前でのことを奪って、二人関係を壊してやるつもりだった。
だけど、二人の関係は呆気なく終止符を打った。
「あーあ、つまらないなぁー」
シズちゃんもシズちゃんだ。
単純な脳細胞してるんだから、のことを自分の身を呈しても守ればいいのに。
やっぱり、あの時を刺したのが問題だったかな・・・
アレで歯車が狂った。
でも、俺だってまさか、自分から刺さりに来るとは思わなかった。
さすがの俺も驚いたからね。
てか、なんで別れるかな。
俺の予想外の別れ方しないでもらいたいね。
単細胞のシズちゃんのクセに。
いや、単純な脳細胞だからこそ・・・別れることを選んだのかもね。
をこれ以上、壊してしまわないように。
ある意味、シズちゃんの本能的な守り方なのかもしれない。
シズちゃんの考えてることなんてわかりたくもないけど!!
† さよならさよなら、別れの言葉で全てを断ち切る †
(確かに、シズちゃんの言う通り。俺とシズちゃんがのことを壊すんだろうね)
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