† 行く先が地獄だと分かっていても、足が急かして止まらない †










「新羅ー、きたよー」


「あぁ、


「シズちゃんは?」


「強い鎮静剤打ってやったよ」


「あ、それは素敵。メス何本いかれた?」


「そりゃもう5,6本」


「あーあ。で、鉛は?」


「普通に取ったよ。あぁ、いる?」


「そうだなぁー記念にもらっとこっかな。なぁーんて、冗談です」


「杏里ちゃんもまだ目を覚ましてないよ」


「そっか。あーもう、なんか全部わかってるから嫌だ嫌だ」


「珍しいね。が僕に愚痴をこぼすのは」


「たまにはいいでしょー。いっつも新羅の惚気話聞いてあげてるんだから!」


「僕が惚気たら君は惚気返すでしょ」


「まぁねー。私のシズちゃんと臨也に対する愛も新羅には負けてないから!」


「・・・、新羅。玄関先で話し込んでないで中に入ったらどうだ?」


「セルティ!!そんなに僕がいなくて寂しかったのかい?!」


「違う、断じて違う」


「素直じゃないなぁーセルティは!」


「一生玄関にいさせてやろうか?」


「丁重にお断りします、させてください」


「ホント、仲いいよねー。セルティと新羅」


「そんなことあるよ!」


「あ、幽くんだ」


「そうだは知ってたか?羽島幽平が静雄の弟だって!」


「あ、うん。幽ちゃんとはたまにご飯も食べるし」


「は?」


と幽くんって仲いいよね。一回週刊誌に撮られたんだっけ?」


「そうそう」


「だ、大丈夫だったのか?!」


「うん、普通に。幽ちゃんの義姉です宣言で」


「え?」


「ほら、私ってば幽ちゃんのお姉ちゃんみたいなものだし?幽ちゃんも姉さんって呼ぶし」


「・・・、すまない。話についていけていない」


「でも幽くん言ってたよね。初恋の人です。って」


「あれ、ちょっとドキッとしちゃった。・・・っていうのはシズちゃんにも臨也にも内緒にしててね」


「え、羽島幽平の初恋の人がなのか?!」


「らしいよ。幽くん曰くね」


「あ、シズちゃん奥の部屋?」


「うん、一番奥の部屋だよ」


「ありがと」





















◇◇◇




















「シズちゃーん。起きないかなぁーシズちゃーん」


「・・・、入るよ」


「なにー?」


「杏里ちゃんが目を覚ましたよ」


「そっか」


「君はここにいる?」


「うん、ここにいる」




私は、杏里ちゃんが今から二人に話すこと、全部知ってるだろうから。

だから、私はここにいる。

・・・・・・知っているのに、何もしない自分が嫌だから。




「そう。あまり思いつめないようにしなよ」


「わかってる。ありがと、新羅」




新羅は少し私に笑いかけて、私の頭を撫でて部屋を出て行った。

なんか、子ども扱いされてるみたい。




「シズちゃーん、シズちゃん。起きてよー」


「・・・・・・ん、」


「シズちゃん?」


「・・・・・・


「おはよ?」


「あぁ、おはよ」


「傷、痛い?」


「いや、痛くねぇ」


「そっか、それならよかった。あ、ちゃんと新羅が鉛取ってくれたよ」


「じゃあ、鉛中毒にはならなくて済むな」




なんて言って、シズちゃんは笑った。

あぁ、この顔好きだなぁー。

自惚れかも知れないけど、私だけが見れるやわらかいシズちゃんの笑顔。




「うん、だいじょーぶだね」


「んじゃ、俺はちょっと行ってくるわ」


「どこに?」


「俺を撃ちやがった奴をぶちのめしに」




















◇◇◇




















「新羅ー、シズちゃん起きたよー」


「結構強い鎮静剤食らわせてやったのに」




罪歌の愛の言葉が強くなる。

愛してる、愛してる、愛してる。

それは、彼が現れたから。

罪歌が一番斬りたい、愛してる、強い人間が、




「し・・・静雄さんとさんがどうしてここに・・・?」


「・・・やべぇ・・・誰だっけ?」


「園原杏里ちゃん。ほら、覚えてない?」


「・・・・・・」


「彼、昨日撃たれたんだってさ。で、はまぁ静雄を見に来たってわけ」


「私はシズちゃんだけじゃなくて、杏里ちゃんにも逢いに来たんだけどね」




斬りたい、斬りたい。

罪歌の愛の言葉が深く、強くなる。

愛してる、愛してる、愛してる。




「でもさー足と脇腹に弾丸喰らってバランス崩してすっ転んでる間に撃った奴等は逃げたんだって。間抜けだよねぇ」


「死ぬか」


「ごめんなさい」


「いやさ、気づいたら血はドクドク出るわでさ。には鉛中毒は怖いって脅されるしさ」


「ホントに鉛中毒は怖いんだよー」


「てか、それでなんで俺のところに来るかな」


「だってほら、銃創って色々面倒じゃん?」


「あぁ、なるほどね。静雄だしねぇ」


「そうそう。だから、私は闇医者の新羅のところに行くことをお勧めしたんですー」


「つまりは君の差金か」


「だって新羅のこと一番信頼してるもん、闇医者の中で」


「君は何人闇医者の知り合いがいるんだい」


「えぇー新羅一人だけだよ」


「そう言うと思ったよ。てか、これからどうすんのさ」


「決まってんだろ。俺を撃った奴をぶちのめして、それを命令した紀田正臣って奴もぶちのめす」


「・・・・・・!!!」


「あっ杏里ちゃん?!」




私は無我夢中で走り出した。




!俺は杏里ちゃんを追いかけるから、帰るなら鍵は閉めて帰ってよね!」


「はぁーい」










† 行く先が地獄だと分かっていても、足が急かして止まらない †

(よし、ちゃんと鍵は閉めた。じゃー私も行くべきところに行きますか!)



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