† 君を苦しめるつもりなんて少しもなかったのに †
なぜサイモンがここにいる?
痛みに耐えながら考える。
考えて、考えて、頭に浮かぶのは一人の人間。
自分が最も愛している人間、。
彼女ならば的確にサイモンをここに誘導することが出来る。
『・・・かい?』
『は全てを知っている。だけど、お前を愛しているから直接的に関わることを拒否する』
『あの子はそんな自分を偽善者だと嘲笑うけどね』
そんな姿さえも愛しいよ、本当に。
『サイモンに池袋の状況を教えたのはだね?』
『いや、違う。言っただろ、は直接的に関わることを拒否する、とな』
『だったら・・・』
『正臣の彼女がいたろ』
『あぁ、沙樹ちゃんね』
あの、可哀想な少女。
俺の言葉を信じて、
俺の言葉だけを信じて、
彼女は自らを傷つける道を選んだ。
でも、なぜ沙樹がサイモンに助けを求める?
『うちの寿司屋は結構景気がよくてね』
『・・・・・・なるほど、ね』
電話帳、か。
そこまでは考えていなかった、盲点だったな。
大方、露西亜寿司の電話番号が電話帳に載っていることを沙樹に教えたのがだ。
サイモンの言うとおり、彼女は直接的には関わっていない。
『サイモン、はいまだに悔やんでいるんだよ。あの時、沙樹に怪我をさせてしまったことを』
『・・・・・・』
『ちなみに、当時ブルースクウェアだったドタチンに助けを求めたのもだ』
彼女は俺の目の前で、ドタチンに助けを求めた。
の言葉で動いたのかは知らないけど、結果的にドタチンたちが沙樹を助けた。
それでも彼女は悔やみ続けた。
俺を愛するが故に、ね。
『は自分が沙樹が奴らのところに行こうとすることを直接的に止めようとした、しかし出来なかった』
『臨也が沙樹ちゃんにこれで全て終わると教え込ませていたからね』
『』
『サイモン、ありがとね』
『気にするな』
『ありがと。板前さんにもよろしくね』
「・・・サイモンってさ・・ロシア語と日本語じゃ言葉の印象違いすぎって思わない?」
「確かにね」
「あーあ、本当に愛しいよ」
「人間が、でしょ」
「君がだよ」
愛しくて仕方がない。
誰よりも、何よりもこの子の全てが愛しい。
「あぁ、そうだ。チョコレート頂戴?」
「・・・は?」
チョコレート?
生憎、俺は今チョコレートは持っていないよ?
「四木のオジサマから頼まれたんだよね。臨也からチョコレートもらってくるように」
あぁ、なるほど。
そういうことか。
「そうするとチョコレートの報酬ものものになるのかな?」
「半分くれるんだって」
「ははっ!!やっぱり君は愛しいよ!!」
何よりも、誰よりも・・・全てにおいて君が愛しい。
「はい、チョコレート」
「ありがと」
「四木さんに言っておいてよ。報酬は全部にあげていいって」
「え、なんで?」
「特に意味はないよ」
「私、半分で十分だなんだけど」
「君、知らないでしょ。チョコレートの回収の報酬がどれくらいのものか」
「結構な報酬でしょ。それこそ・・・私の一年間の仕事のお給料の総額くらい」
「いや、それ以上かな。よかったね、臨時収入だ」
「・・・やっぱり、いらない。私そんなお金に困ってるわけじゃないし」
「いいんじゃない?四木さんからのお小遣いってことで」
「あーでも、これってバイトとかになっちゃうのかなぁー。そういうことしちゃダメなのに」
「お小遣いなら問題ないでしょ」
「問題あるよー。あーあ、どうしよっかなぁーこの重いチョコレート」
「ふらっと行って渡してきなよ。どうせ報酬は君のいつもの口座に入るだろうし」
「えぇー」
「あぁ、あと。大丈夫だと思うけど、銃弾入ってるから気をつけてよ」
「は?」
「まぁ、扱える君なら大丈夫でしょ」
「あーもう、やっぱり私が渡しに行かなきゃ行けなくなっちゃじゃん」
「何?どうやって四木さんに届けるつもりだったの?」
「ゆうパックとかで。割れ物注意とかにしたら外枠だけならいけるかなぁーって思ったんだけど」
「それは何かあったときに足がつくからやめたほうがいいと思うなぁー俺は」
「うん、私もそう思う。これホンモノだから言い逃れも出来ないし」
まぁ、例え足がつきかけても簡単にもみ消されることになるだろうけど。
「じゃーとりあえず、一緒に行こうよ。臨也」
「嫌だよ」
「え、なんで?」
「地味に痛すぎるから」
「あ、大丈夫?」
「心がこもってないよ」
「んーだって自業自得だし?でも、出来れば・・・ホントはね、私が臨也のこと殴りたかったんだよねー」
† 君を苦しめるつもりなんて少しもなかったのに †
(君になら殴られてもいいよ、君の気が済むならいくらでも・・・でも、きっと出来ないよね?)
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