† 君は、本当にお人好しだね †










「なぁ・・・お前らは見つけたか?フィオーレのキーワード」


「まだっす」


「てか、ホントにそんな有力情報がフィオーレにあるんっすかねぇ?」


「・・・ある。間違いなくある」




フィオーレはカナリの規模の集団。

それこそ、黄巾賊とかダラーズとも負けず劣らずの人数がいると思われる。

もっとも・・・フィオーレもキーワードさえ見つけられれば、誰でも入れる集団だから色んな人間が入っていてもおかしくない。

それが、黄巾賊であれ、ダラーズであれ、切り裂き魔たちであれ。




「俺が聞いた話だと・・・フィオーレのキーワードはクイーンのHNらしい」


「クイーンっすか」


「あぁ」




思い浮かぶ人間は二人。

フィオーレのトップでもおかしくない二人。

一人は・・・俺を絶望の淵に追いやった折原臨也。

もう一人は・・・折原臨也に愛される




「そういえば、将軍。最近よくサンと接触してるみたいですが、大丈夫なんすか?」


「・・・あぁ、あの人個人はだいじょーぶだって」




さんは大丈夫だ。

あの人は、人を手駒のように扱うようなことはしない。

あの人はただの傍観者。

折原臨也の盤上をさらに高い位置から見下ろす傍観者。

もっとも・・・傍観者のくせに傍観だけでは終わらないということを除いて。




















◇◇◇




















「・・・始まっちゃった、か」




すべてはあの黒い悪魔の盤上で。

彼らは狂い踊るのか、それとも・・・

臨也の思い通りにならないといいけど。




















◇◇◇




















・・・メール?

差出人は親友である、

内容は・・・

え?

あぁ、そうか。

は知っていてもおかしくはない。

彼女のメールの内容は簡潔な一文。

「杏里ちゃんを助けて」

・・・というものだった。

そして、

同時に杏里ちゃんから来たメールは私に助けを求めるものだった。




















◇◇◇




















「よし、これでオッケェー」




これは私のただの自己満足という名の偽善。

杏里ちゃんはきっと知ってしまう。

罪歌の子ども達は黄巾賊にもいる。

だから、知ってしまう・・・黄色のトップが考えていることを、罪歌の子どもたちを通じて。

罪歌の子ども達は母には従順だから、きっと答える。

例え、杏里ちゃんが罪歌の・・・母の宿主にすぎないとしても。




「あーあ、ここまで臨也の思い通りなんだろうなぁー」




それこそ、私がセルティに杏里ちゃんのことお願いするところまで全て・・・

臨也の盤上で起こる動きにすぎない。

ホント、面倒。




「まぁね。でも、一つ誤算はあったよ」




気配を消して、私に近づいてきた彼。

黒い盤上のカミサマ。




「え?」


「君が俺が考えていたよりも、ずっと園原杏里を気に入ってしまっているからね。少しやりにくい」


「あー同情的なのかもね」




杏里ちゃんと私は少し、近い部分がある。

もっとも、決定的な違いもあるのだけど。

それでも、似ている。




「君のその自嘲気味なところも好きだよ」


「それはありがと」


「でも、君と園原杏里とは違うよ」


「・・・どこが?」


「だって君は俺に愛されているし、俺を愛しているからね」


「臨也ってさーよくそんなこと恥ずかしげもなく言えるよね」


「君相手に自分の感情を隠すなんて無駄なことはしないよ」


「まぁいいや。私はどうせ傍観的な立場でしかいられないし」


「君が望むのなら俺の盤上で狂わしてあげるよ」


「あら、それは怖い」


「でももしも、君が狂ってしまっても愛してあげるから安心していいよ」


「それはとても安心だね。でも、臨也の盤上になら・・・私は自分で上がるから」


「ははっそうだね、君はそういう人間だ。で、君は行くのかい?」


「まだ、行かない」


「ふーん」


「ほら、明日シズちゃんとデートだし」


「は?それ聞いてないんだけど」


「言ってないし。とにかく、明日はシズちゃんと池袋でご飯食べる約束してるんだから邪魔しないでよ」


「わかってるよ。それに俺もそこまで暇じゃない」


「明日何かあるんだ」


「まぁね。だから、明日はうちのマンションに来ないほうがいいんじゃないかな」










† 君は、本当にお人好しだね †

(結局私は自分で黒い悪魔の盤上には上がれない、それを私が拒否するから)



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