† しょうがないじゃんか、好きなんだから †
「つっちー!見せに来たよー!」
「・・・とりあえず、ここから出ようぜ」
「あ、うん」
クラスの男共の視線が痛い。
・・・そういやコイツ、普通科で人気あるんだよな・・・
「どっ?どっ?可愛い?」
「まぁ・・・馬子にも衣装だな」
「・・・とりあえず、あの失礼なガキよりはマシな答えだって思ってる」
「ガキ?」
「あーつっちー見たことない?学ランか私服で普通に学院を闊歩してるガキ」
「・・・あぁ、何度か見たな。に絡んでるのを」
「あのがきんちょはに惚れちゃったみたいですよ」
「ははっも大変そうだな」
「ホントにねー」
「・・・そういや、加地は?」
「放置してきた」
「放置ってなぁ・・・」
「まぁ桐也がいたからいいかなぁーって」
「桐也?」
「うん、さっき話題にあげた生意気なガキ」
「加地の知り合いなのか?」
「知り合い知り合い。仲はあんまりよくないだろーけど」
「大丈夫なのかよ・・・」
「大丈夫だと思ってる。それに、つっちーが加地くん連れてくるなって言ったじゃん」
「まぁ、そうなんだけどな」
「そんなに加地くん見たかった?天羽ちゃんがポラで撮ってくれた写真あるよ」
「・・・なんていうか笑うしかないな」
「さすが加地くんだよねー」
「いや、お前も十分姫っぽいな」
「マジ?」
「あぁ、口を開けば我侭姫全開だけどな」
「なっつっちーまでそんなこと言う?!」
「ははっあたりに言われたか?」
「言われた。しかも、私ってばかぐや姫らしいよ」
「かぐや姫か」
あーなるほどな。
まず無理な難題を突きつけて・・・
それなのに、男を翻弄する。
だけど、翻弄するだけして月に帰ってしまう。
月の国の姫・・・か。
「確かにぴったりかもな」
「だぁぁ!!つっちーまで私をかぐや姫にする?!」
「あぁ・・・でも、月には帰るなよ」
「あははっつっちーが加地くんと同じこと言ってるー!」
「・・・マジかよ」
・・・でも、加地なら普通に言いそうだよな。
俺のほうが柄にもない。
・・・というか、キャラじゃない。
「ねぇ、つっちー」
「ん?」
「可愛い?」
ドレスの裾を上げて笑う姿は・・・正直、可愛いと思っちまった。
つまり、あれだ・・・俺の負けということ。
「・・・あぁ、可愛いよ」
「・・・え?」
「・・・なんだよ、そのボケた顔は」
「だ、だってつっちーが可愛いなんて言うから!!」
「言っちゃ悪いのかよ」
「い、いやっそういうわけじゃないんだねどっ」
あたふたしだしたを見ているとつい、苛めたくなってしまう。
だから俺はわざとの耳元で・・・
「・・・可愛いな」
なんて言えば、込み上げてくるのは恥ずかしさ。
「つ、つっちー!どうしちゃったの?!なんか変なもの食べた?!」
「お前なぁ・・・」
「だ、だって!つっちーが!」
「さん!やっと見つけた!」
「わっ加地くん?!」
「加地・・・」
「土浦のクラスに行ったら土浦がさん連れて出て行ったって言ってたから探したよ!」
なんていうか・・・さすが加地。
犬だな、コイツは。
間違いなく犬だ。
「なぁ、」
「ん?」
「今気づいたんだけどさ・・・目線近くないか?」
「あーうん、このブーツのおかげ。ほら、身長差が悲しいから」
「こけるなよ」
「努力します」
「あっさんがこけそうになったら僕が支えるから大丈夫だよ!」
「あはっありがと。でも、私ってばいつもこんな厚底履いてるし」
「そういや、お前のローファーも結構な厚底だったな」
「うん、それでも二人には全然追いつかないんだけどね!」
† しょうがないじゃんか、好きなんだから †
(なんていうか・・・俺が俺らしくないのは、と加地のせいだ。)
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