† 夢?違う、これが現実だ †
「くん、何事だ」
「あ、吉羅サン。お邪魔してまーす」
「・・・何をしている?」
「ネイルでーす」
「・・・君は不器用だな」
「否定できません」
「貸してみたまえ」
「え?」
吉羅サンは私からマニキュアを奪って私の爪に塗り始めた。
・・・なんていうか、めちゃくちゃ綺麗で上手。
私が塗った爪とはもう雲泥の差。
「吉羅サン、吉羅サン。私が塗った爪除光液でとっちゃうから塗りなおしてください」
「わかった」
「あっ自分でとりますよー」
「君は黙って見ていなさい」
「へ?」
「私が塗った爪はまだ乾いていない。君は不器用なのだろう?」
「え、あ、はい」
「ならば君はおとなしくしていなさい」
「はぁーい」
なんていうか・・・私ってばまるで女王様?
大人な吉羅サンにマニキュア塗ってもらってるとか・・・
桐也あたりにさすがに怒られそう。
「あ、吉羅サン。今日もアンジュだ」
「・・・君はよくわかるな」
「え?」
「初めて理事長室に呼んだときも私のスーツをアンジュだと言ったな」
「あ、はい。この前見た新作だったんで。てか、うちの両親がアンジュのデザイナーなんですよ」
「・・・なるほど、それならば知っていてもおかしくはないか」
「そー言うことです。うちの両親、新作できるたびに私に見せに来るんですもん」
色んな意味で可愛い両親なんです。
自分たちが作ったものを一番初めに娘に見てもらいたい・・・なんて。
「通りで君の周りにはアンジュのものが多いわけだな」
「あーこれとかですか?」
「あぁ」
「こういう小物系とか、私の私服とか基本的に試作品なんで。使ってみてよかったら商品化みたいな感じなんです」
さすがにメンズ系は私は持ってないけど。
メンズ系は基本的に蓮が使ってます。
でも、蓮も好きだよねぇーアンジュ。
嫌がらずに着たり持ったりしてるし、まぁ昔からだし。
「でもって、私が今まで見てきた中でアンジュのスーツ一番似合ってるの吉羅サンなの」
「・・・は?」
「だからね、自然と吉羅サンのスーツ見ちゃうっていうか。アンジュだったらとりあえず嬉しい」
やっぱり、似合ってる姿とか見るのは嬉しいものなんです。
だって私、なんだかんだいってアンジュが大好き。
「あっでもでも、毎日アンジュ着てっていう強制とかじゃないですよ!」
「私はアンジュを気に入っている」
「へ?」
「だから、私が今持っているスーツは全てアンジュのものだ」
「ってことはスーツ姿の吉羅サンをいつ見てもアンジュ?」
「そういうことになる」
「それはなんだかお得な感じですね!」
コンコン。
「暁彦さん、入るよ・・・って、何やってるわけ?先輩」
「吉羅サンにマニキュア塗ってもらってました・・・!」
「・・・先輩ってさー女王様?」
「それは全力で否定します!じゃあ、吉羅サン私帰りますー!ありがとねー!」
◇◇◇
「あっ、爪可愛いーピンクのラメだー」
「ありがとー」
「ってそういうとこ器用なんだねー」
「いや、これやったの私じゃないから」
「へ?」
「吉羅サンがやってくれた」
「なんで理事長がの爪にマニキュア塗るの?!」
理事長だよね?!
あの理事長だよね?!
星奏分割とかいきなり言い出した理事長だよね?!
「理事長室で不器用にマニキュア塗ってたら吉羅サンが見かねてねー」
「あぁーやっぱりあたしの親友様は最強だった・・・」
そうだ。
あたしの親友様は理事長と茶飲み友達レベルだった。
しかも、なんか仲良さげ!!
あたし、この前森の広場で理事長がと喋って笑ってるの初めて見たんだからね!!
「あ、もやってもらう?」
「遠慮します・・・!!」
「吉羅サン上手だよ」
「いや、普通に考えて無理だから!!」
なんではそんなサラッと言っちゃうかな・・・
普通だったらありえない。
あぁ、でも・・・あたしの親友様は全く普通じゃなかったね!
だってあの柚木先輩とも普通に喋っちゃうくらいだもんね!!
「んーは吉羅サンが怖い?」
「えっと・・・怖いわけじゃないけど、みたいに話しかけるとか無理!」
「そっかぁー吉羅サンの話し面白いよ・・・あとピアノ」
「へ?」
「さすが星奏学院の音楽科出身だよねー」
「ちょっと待って!理事長って学院の音楽科出身なの?!」
「うん。知らなかった?」
「知ってるわけないでしょーー!!」
「とりあえず、学院の音楽科出身だよー、ちなみにヴァイオリン。蓮の先輩だね」
「」
「ん?」
「あたしやっぱりの超展開についていけない」
† 夢?違う、これが現実だ †
(あぁーもう、あたしの親友様は最強すぎて仕方がない!!!)
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