† もう解けないほど絡まってしまったから、諦めるしかないんだ †
「あっつっちー!コレ、半分持ってー!」
「あぁ、いいぜ」
「さん!」
「あ、加地くん」
「重そうだね、持つよ」
「んー半分つっちーに持ってもらったし、大丈夫だよ?」
「・・・僕が嫌なんだ、さんに重いもの持たせるなんて」
直球だな・・・
まぁ、コイツはコイツで鈍いし、コレくらい直球に行かないと伝わらないんだろうけど。
それに、結構頑固な性格だし。
「だからさん、貸して」
「う、うん・・・ありがと。あ、つっちー私、手ぶらになったし返してー」
「いいって。乗りかかった船だ最後まで付き合う」
「ありがと。てか、私がセンセに頼まれたのに手ぶらだよ」
「でも、先生に頼まれたなら僕を呼んでくれたらよかったのに」
「あはっありがと。職員室を出た瞬間につっちーが見えたから大丈夫かなぁーって思ったんだよねー」
「最初から持たせる気だったのかよ」
「うん」
「そういや、一年のときから荷物運び手伝わされてたもんな」
「ほら、つっちーっておっきぃし、いいかなぁーって」
「あのなぁー・・・まぁ、いいけどな」
コイツに頼られるのは正直嫌いじゃない。
まぁ、危なかしくて見ていられないってのもあるんだけど。
教師も教師だよな、このちっこいに荷物運び頼むなんて。
「しかし・・・相変わらず小さいよな」
「つっちー蹴るよ?ねぇ、蹴るよ?蹴っていい?てか、蹴る」
「・・・悪い、悪かった」
「本当に仲良いよね、さんと土浦・・・ちょっと妬いちゃうな」
「は?」
「僕も、土浦くらい仲良くなりたいな」
俺くらい・・・か。
俺が今にとってる行動を加地に置き換えて考えてみたら何かが引っかかる。
ははっ・・・そうか。
なるほどな。
これも、一種の独占欲か。
いつの間にか、俺の気づかないうちに・・・俺の中を占めてたんだなコイツは。
「加地」
「ん?」
「俺も負けられないみたいだ、悪いな」
「あーあ、気づいちゃったんだ」
「あぁ、今更な」
「じゃあ、改めて・・・僕も負ける気はないから」
「上等だ」
「なんかよくわかんないけど、人の頭の上で会話するのやめてくれないー?嫌味?ねぇ、嫌味なの?!」
結構わかりやすいこと言ってるはずなのに、コイツはコイツで的外れ。
てか、頭の上での会話は仕方ないだろ。
が小さいのが悪い。
「でも、まぁ・・・小さいのも可愛くていいよな」
「は?」
頭も撫でやすいし。
小動物みたいだし。
「だぁぁ!!!髪の毛ぐちゃぐちゃになるでしょー!!!」
「・・・でも、本当に羨ましいな」
「えぇ?!加地くんも髪の毛ぐちゃぐちゃにされたいの?!それだったら私がめいいっぱいやってあげるよ!」
「、ストップ」
「へ?」
「そんなこと言ったら加地は・・・」
「うん、じゃあぜひお願いしようかな」
「・・・ほらな」
そう言うと思った・・・
てか、間髪いれずに言ってくるところが加地らしい。
「いや、加地くん大丈夫。ちゃんと冗談だってわかってるから!」
「結構本気だったんだけどな・・・」
「えぇ?!」
「・・・なんてね」
「もう加地くんってばー」
いや、結構本気だっただろ!!!
「あ、そうだ・・・さん」
「ん?」
「僕、さんのことさんって呼びたいんだけどダメかな?」
「あ、いーよ。さんなんて呼ばれたことないからちょっとくすぐったいけど」
「ありがとう!」
「つっちーもって呼ぶ?」
「は?」
「いや、つっちーも私のこと呼びだったなぁーって思って」
「あー・・・じゃあ、そのうちな」
「あはっ強制はしないから安心して!私もつっちーのこと梁太郎って呼ぶのくすぐったくて無理だから!」
「別にいいけどな、そう呼んでくれても」
「無理無理ー!恥ずかしいし!!」
「・・・・・・加地」
「ん?」
「穴が開きそうなくらいじっと見るのはやめてくれ」
「え、僕そんなに見てた?」
「・・・あぁ」
「ごめんごめん、ほら・・・土浦が羨ましくてつい、ね?」
† もう解けないほど絡まってしまったから、諦めるしかないんだ †
(結局のところ・・・俺はコイツのことが好きだってことか。)
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