† 流れる音楽、柔らかく優しく †
「暁彦さん、入るよ」
いつも通り、理事長室の扉を開ければ・・・
暁彦さんと知らない女。
しかも、その女は優雅に紅茶を飲んでいた。
「・・・アンタ誰?」
「知らない男にアンタって言われる筋合いはありませーん」
・・・・・・この女、ムカつく。
「暁彦さん、なんなわけ?このムカつく女」
「ムカつく女とは失礼ねぇ」
「だってムカつく女じゃん」
「吉羅サン、何このムカつく餓鬼」
やっぱりムカつく。
「・・・私の従兄弟だ」
「へぇー従兄弟なんだ。あ、吉羅サン。私、そろそろ帰るねー」
・・・・・・ちっさ・・・!
確か、星奏学院で赤いタイってことは二年だったよな?
全く見えない。
てか、普通に俺より年下に見えるじゃん。
「・・・アンタ、今ちょー失礼なこと考えてたでしょ」
「・・・別に。てか、アンタ矛盾してるよな」
最初に、知らない男にアンタって呼ばれる筋合いはないって言ってたくせに。
自分も普通に俺のことアンタ呼び。
「だって私、アンタより年上だし」
「は?なんでわかるんだよ」
高校だって学ランの高校もあるはず。
だから、格好だけで俺を自分より年下って決め付けれるわけがない。
「その学ラン、私の卒業した中学だし」
「は?」
「先輩は敬いなさいよー」
「・・・・・・アンタ、名前は?」
「。」
「ふーん・・・まぁ、名前だけなら覚えておいてやってもいいよ」
「あ、別に忘れてくれていいし」
「なっ」
「あ、アンタの名前は?」
「・・・桐也、衛藤桐也」
「桐也ねー」
「いきなり名前を呼び捨てなんて馴れ馴れしいんじゃない?」
「あ、私のことも名前でいーよ。先輩とか希望。で、衛藤くんってなんか呼びにくいから却下で桐也呼び決定」
〜♪
「その音・・・!」
「あ、?どーしたの?」
「!どこにいるわけ?!」
「え、ここ?理事長室」
「理事長室?!なんでまた理事長室にいるわけ?!呼び出し?!」
「理事長室だね!!」
「・・・なんか、加地くんの声とバックで走り出した音聞こえたんだけど」
「あはは・・・加地くんが走り出した」
「さんありがとう!今度お礼、たっぷりするから!!」
「・・・てか、ってば理事長室で何してるわけ?」
「んー吉羅サンが淹れた紅茶飲みながら失礼な餓鬼相手にしてた」
「は?」
「アンタだって失礼だろ!てか、今の着信音生演奏の録音だろ?!」
「あ、うん。私の親友様の生演奏」
「ちょっと電話貸して」
「あっちょっと!!」
「もしもし」
「は、はい?!」
「俺、衛藤桐也。アンタの音興味あるから今度聴かせてよ」
「えぇ?!」
「連絡先、この失礼な先輩に教えとくから」
「あっちょっと?!」
「はい、返す」
「うわぁーお疲れ。生意気な餓鬼に好かれちゃって大変だねー」
「ーあたし、全くついていけてないんだけど」
「あははっ頑張って。親友様は遠くから見守ってるから」
「えぇー?!」
「ん、じゃー切るね」
「あっちょっと!?!」
「なぁ。さっき加地って言った?」
「あ、うん。加地くん」
「もしかして、フルネーム加地葵サン?」
「そう。知り合い?」
「まぁね・・・あぁ、そうだ、忘れないうちに」
「ん?」
「携帯貸して」
「は?」
「だから携帯。俺の連絡先入れとくからさっき人に教えといてよ」
先輩の携帯を勝手にいじって赤外線で俺のアドレスを送信。
・・・これでよし、っと。
「あ、ついでに先輩の連絡先も教えてくれてもいいよ」
「アンタなんでそんな上からかな」
「アンタも上からだし別にいいんじゃない?」
「まぁいいけどね。はい、送信するよー」
「どーも」
† 流れる音楽、柔らかく優しく †
(巧い音色は何度も聴いた、だけどあの音は違う・・・もう一度聴きたい、一緒に奏でてみたいって思える音)
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