† わからないよ。好きって何なのか、愛するってどういう意味なのか †










「柚木ー」


「どうしたんだい?火原」


「やっぱり元気ない!」


「え?」


「柚木、昨日から元気ないよね」


「・・・・・・わかってしまうかい?」


「そりゃわかるよ!」


「・・・ありがとう、火原」


「あのさ、聞いていいのかわかんないんだけど・・・もしかして、ちゃんと何かあった?」


「え?」


「だって、昨日、ちゃんにマドレーヌあげに行ってから柚木元気ないし、なんか考え込んでるみたいだし」




でも、なかなか聞けなくて・・・

でも、聞きたくて。

だって、親友が元気ないと心配じゃん!!!




「・・・火原、一つ質問してもいいかな」


「何?!俺に答えられることだったら何でも答えるよ!!」


「火原はさんとずっと一緒にいたいって思うかい?」


「え?ちゃんと?」


「そう」


「そりゃ、一緒にいたいよ!だって、ちゃんは俺の好きな人だから!」




好きな人と一緒にいたい。

ずっと、一緒にいたい。

うん、俺は・・・ちゃんとずっと一緒にいたい!




「でも・・・ずっとなんて重いと思わない?」


「それは・・・確かに重いかもしれない。けど、お互いに同じ気持ちだったら重くないんだって俺は思う」




二人とも同じ気持ちだったらきっと、重くない。

むしろ・・・ずっとっていうのが嬉しくなる。

だって、二人とも一緒にいたいって思ってるのなんて最高に幸せじゃん!!




「なるほど、ね。ありがとう、火原。参考にさせてもらうよ」


「うん!」


「で、火原はいつさんに伝えるつもりなんだい?」


「え?」


「火原のさんへの気持ちだよ」


「え、あっそれはそのっ!・・・卒業するまでには伝えたいと思ってる!」




まだ、うまく伝えれない。

やっぱり、告白するならそういうシチュエーションとかも大事なんだろうし!!!

でも、俺って・・・どっちかっていうと直進タイプだから言ってしまいたくなる。

ちゃんに、ちゃんのことが好きだって・・・

だけど、まだ言わないんだ。

これも一種の男のロマンなのかもしれないなー。




「頑張ってね、火原」


「柚木もな!」





















◇◇◇























「あ、柚木先輩だ」


「今暇だよな?」


「なんですか、その断定」


「暇じゃないわけ?」


「・・・ムカつくけど、暇ですよ」


「じゃあ、おいで」


「は?」


「場所は練習室。お前に一曲聴いてもらいたいんだ」


「・・・わかりましたー」










〜♪










「セレナードですか」


「あぁ、そうだよ」


「・・・・・・」


「・・・いつか、ずっとという言葉は重くないって言わせてやるから覚悟してろよ」


「へ?」


「俺は、お前が好きだよ」


「なっ?!えぇ?!」


「でも、お前はお子様だからね。返事はそうだな・・・卒業式に聞かせてくれればいいよ」


「・・・・・・」


「それまでは今まで通りのお前でいて」




変えてやりたい。

でも、まだその機会はきていない。

だからね、まだお子様のままでいるといい。




「柚木先輩」


「何だ?」


「正直に言っていい?」


「あぁ」


「柚木先輩の言ってる好きが私にはよくわかんない」


「・・・お子様」


「なっ」


「お前、今まで誰かを好きになったことないの?」


「人並みには恋愛はしてきましたよー・・・でも、今思えば好きだったのかもわかんないなぁーって」


「ふーん・・・まぁ、お前の昔の恋愛なんて興味ないよ」


「左様ですか」


「俺は今のお前が好きだからね。・・・俺の本性を知っても怖気づかなかったお前が、ね」


「んー怖気づく必要なかったですし?てか、ニコニコ優等生の柚木先輩のほうが怖かったし」


「は?」


「そう、良い人過ぎて怖かったんですよー柚木先輩」




・・・・・・全く、これ以上俺の心を乱さないで欲しいね。

しかも、恐らく無意識に言うものだから性質が悪い。










† わからないよ。好きって何なのか、愛するってどういう意味なのか †

(手に入れて、俺のものにしてしまいたい。ずっと、ずっと・・・ね)



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