† ねえ、覚えてる? †
「加地葵です」
あ、さっきのの手の甲にキス人!!
やっぱり、噂の転入生だったんだー!
「よろしくお願いします」
「席は・・・」
「先生、僕は彼女の隣がいいです」
転入生の加地くんに指差されてるのは・・・
あたしの親友様。
しかも、窓から外見てて全く気づいてない。
「」
「え、あ、はいー?呼びました?」
「加地に校内案内とかしてやれ」
「なんで?」
「隣の席だからな」
「へ?あーなんかよくわかんないですけど、わかりましたー」
「よろしくね、さん」
「あ、うん。よろしく」
「僕、まだ教科書とか揃ってないから見せてもらってもいい?」
「あ、どーぞどーぞ」
「ねぇ、さん」
「ん?」
「また逢えて嬉しいよ。しかも、隣の席なんて・・・この運命に感謝したいよ」
「また?あぁ、朝のこと?」
「ううん、違うよ」
「・・・・・・?」
「ずっと前に僕は一度君に救われてるんだ」
「加地くーん。私、そんな大層なことした覚えマジないんだけど」
「でも、僕が君に救われたのは確かだよ」
・・・・・・なんか、入り込めない空気が流れてます。
と加地くんの間に。
しかも・・・主に加地くんが一人で作り出しちゃってる空気です。
「加地くん、とりあえず休戦で」
「え?」
「思い出すから、加地くんのこと」
「無理に思い出してくれなくてもいいんだよ。君に負担をかけるようなことはしたくないし」
・・・もしかして、、困ってる?
嘘ぉー!!!
が逆に困らされるなんて!
に困らされてる人はいっぱいいるけど、困らせる人って初めて見たかも!!
「じゃあ、ヒント頂戴ヒント」
「え?」
「加地くんを思い出せるようなヒント」
「うーん・・・じゃあ、ヴァイオリン」
「ヴァイオリン?」
「うん」
「ヴァイオリンかぁ・・・」
「もう一つおまけで月森蓮くん」
「へ?蓮?」
「うん、以上ヒントはこれでおしまい」
「ヴァイオリンと蓮・・・か」
「あ、先生。もう授業始めてくださって大丈夫ですよ」
・・・・・・加地くん余裕だなぁ!!
なんていうか、加地くんってすごい人っぽい。
◇◇◇
「えっと、こっちが音楽科で・・・」
・・・・・・やりにくい。
非常にやりにくい。
センセもなんで男子を選ばなかったのかな、案内役に!!
「どうしたの?さん」
「あーもう、なんで私の周りってこんなタイプが多いんだろ」
いや、決して多くないかもしれない。
気づいてるし、柚木先輩は。
あぁーでも柚木先輩も変なところで鈍感かも。
・・・つまりは、やっぱり多いっぽい。
鈍感な人間ばっか。
「ねぇー加地くん。私なんかよりもっとほかに案内して欲しい人とかいない?」
「いないよ。僕は君に案内してもらいたいな・・・ダメかな?」
だぁぁ!!
そんな顔されたら断れないじゃん!!
あぁーでも、女の子の視線がイタイイタイ。
加地くんにほわぁーんとなっちゃってる視線と私に対する敵意っていうか多分嫉妬。
わかるよ、わかるんだよ・・・私だってミーハー心はしっかりあるし!
「さん?」
「うん、わかった案内頑張る。ちなみに行きたいところない?」
「じゃあ、屋上」
「んー・・・・・・どっち?」
「え?」
「音楽科のほうの屋上と普通科の方の屋上、どっち?」
「普通科にも屋上があるの?」
「うん、立ち入り禁止になってて誰も入らないけどねー」
「じゃあ、普通科のほうの屋上を案内して欲しいな」
「はぁーい。加地くんならそう言うと思った」
「え?」
「だってそういうの好きそうだし」
「好奇心旺盛って言って欲しいな」
「あ、確かにそんな感じ。私も人のこと言えないけど」
しっかし・・・
私、いつどこで加地くんと逢ったんだろ。
思い出せない。
でも、なんか・・・初めて逢った気がしない、気もする。
「さん?」
「加地くんーホント、思い出すから時間ちょーだいね」
「そんなに無理しなくていいのに」
「ダメ。加地くんはよくても私がイヤ」
「・・・そっか。じゃあ、思い出してくれると嬉しいな・・・ちょっと恥ずかしいけど」
† ねえ、覚えてる? †
(ヒントがヴァイオリンと蓮かぁ・・・でも、やっぱり初めて逢ったような気もしないんだけどなぁ・・・)
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