† さあ、始まりの旋律を奏でよう― †










「あっ柚木せんぱーい!ちょうどいいところに、乗せてー!!」


「はぁ・・・停めて」


「なんでため息つくかなぁ?」




でも、ため息つきながらも車の扉を開けてくれるのが柚木先輩の優しさ。




「ほら、早く乗れ」


「はーい。あーよかった、これで遅刻は免れる」




始業式に遅刻って言うのも結構厭なものだし。

てか、遅刻自体がイヤ。




「でも、珍しいな。お前がこの時間なんて」


「んーなんか夢見が悪くて?で、気づいたら大変な時間だったわけですよ」


「よかったな、俺が通って」


「ホントに。柚木先輩が通らなかったら私、完璧遅刻でしたー」


「感謝しろよ」


「はーい」


「あぁ、そうだ。お前、こういうの好き?」


「へ?あ、可愛いー」




柚木先輩の手にはクマ。

俗にいうあれ、テディベア。

でも・・・なんとなく、柚木先輩のイメージじゃないなぁー。




「好きならお前にあげるよ」


「あ、じゃーもらう。いーんですか?」


「あぁ、俺がつけるわけにもいかないしね」


「あはっ確かに。柚木先輩が携帯にクマつけてるのは想像できませーん」


「つけるわけないだろ」


「ですよねー。・・・あ、これどうしたんですか?女の子からのプレゼントーとかだったら即効で返しますからね」


「まさか。うちに出入りしてる呉服屋が最近始めたらしくてね」


「あーなるほど。だから、なんだか着物柄のクマさん」




しかも、さすが柚木先輩家に出入りしてる呉服屋さんなだけはある。

だって・・・ものクマさんの生地なんだかものすごく高級感。

果たして、普通にストラップとして携帯につけていいものか・・・悩む。




「どうした?」


「いやーあまりにも高級感たっぷりなんで、携帯につけていいのか悩んでる」


「あぁ、気にしなくてもいいと思うけど?もともと携帯につけるようとして作られてるわけだしね」


「まぁそーなんですけどねー。私ってばしっかり一般人ですから」


「一般人ねぇ?」


「なんですか、その心外だって顔」


「お前が一般人、ねぇ?」


「イヤ、一般人ですって。こんな高級車乗ったの柚木先輩に乗せてもらってが初めてだし」




今までこんな高級車乗ったことないし!!

初めて乗ったときびっくりした覚えあるもんー。

そのときはまだ、柚木先輩の本性知らなかったし。




「お前にとっての一般人の基準はそこなんだな」


「えぇー?」


「俺から見て、お前は・・・全く一般人じゃないよ」


「え、なんか柚木先輩に言われるのイヤなんだけど」


「へぇ・・・そんなこと言うのはこの口かな?」


「なっ柚木先輩顔近い!近い!!」




綺麗な顔そんな近づけないで・・・!!!

しかも、なんか、ものすごい楽しそうだからムカつく!!!




「ふふっこの口今すぐ塞いでやろうか?」


「なっ何言いやがってんですか?!」


「・・・なんてな。お前は本当に可愛いな・・・馬鹿みたいに」


「ゆ、柚木先輩・・・?!てか、馬鹿って失礼じゃない?!」


「ほら、もう着いたよ」


「え、あーホントだ、学院。ありがと、柚木先輩」


「どういたしまして」


「・・・・・・あのー扉開けたいんですけど」


「まだダメだよ」


「は?」


「お前はそのまま待ってて」


「へ?」




待ってて?

・・・・・・なんで?




「・・・ほら、お手をどうぞ。お姫様?」


「は?」




疑問符を浮かべて待ってたら、扉が開く。

扉の外には柚木先輩・・・が、手を差し伸べてくれてる状態。

てか、お姫サマ・・・って私?!




「早くしろ」


「いや、柚木先輩。私、別に普通に降りれるから」


「いいから早く掴め」




・・・・・・脅迫!!!

顔が、顔が笑ってないーーーーー!!!!

これは、今言うこと聞いとかないと痛い目に合うような気がする!!!




「・・・はーい・・・」




あぁー視線がイタイイタイ。

主に柚木様親衛隊の皆様からの熱い視線。

基、ちょー恨みつらみ系。

あー今日の呼び出しは確定。

どう逃げ切るかしっかり考えなきゃ、命は大事大事。




「楽しい時間をありがとう、さん」


「はいはい、どーいたしまして」


「またね」




あー・・・もう、なんか嫌がらせされてるような気がする。

しかも、笑顔が似非だし。










† さあ、始まりの旋律を奏でよう― †

(柚木先輩と話するの楽しいからやめれないしなぁー。あーでも、できる限り親衛隊の皆さんに恨まれたくない!)



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