† アイツ色に染まる自分が心地よい †













「あ、桐也。どーしたの?」


「今から暇?まぁ聞かなくても暇そうに見えるんだけど」


「暇って言えば暇。てか、私そんなに暇そうに見える?」


「あぁ、暇そう」




休日に一人で湾岸通りにいるくらいだし。

てか、いい年なんだしデートとかないのかよ?

・・・まぁ、デートとかしてたら徹底的に邪魔するけど。




「失礼だよね、ホント」


「とりあえず、付き合えよ」


「どこに?」


「昼飯」


「何食べるの?私はものすごく和食が食べたいんだけど」


「じゃあフレンチな」


「桐也って天邪鬼だよねー」


「アンタに言われたくない」


「私は天邪鬼じゃないですよー」


「天邪鬼だろ。てか、アンタのほうが間違いなく天邪鬼」


「むぅ」


「・・・あんまそんな顔してると、どっかの狼に食べられるぜ」




例えば俺とか。

・・・なぁーんてな。




「はぁ?」


「・・・ホント、お子様だよなーアンタ」


「お子様言うなー。てか、桐也のほうがお子様じゃん」


「いや、俺はお子様じゃないし」


「お子様お子様ー」


「はぁ・・・わかった。わかったよ!今回はお嬢様の要望を叶えてやればいーんだろ」


「え?」


「和食でいいから、昼飯」


「やった!和食和食ー」


「ホント・・・お子様」




俺って大人だよなーうん。

少なくともよりは大人だと思う。




「てか、桐也も暇なわけ?」


「いや、暇じゃない」


「は?」


「俺はアンタと違って忙しいから」


「じゃあ、お昼ご飯どーすんの?」


「は?」


「だって桐也、暇じゃないんでしょ」


「・・・なんで、そういうとこだけ素直に聞くかな」


「え?」


「アンタと昼飯に行くから暇じゃないんだよ」


「あーなるほど」


「・・・・・・」


「あ、そうだ。昨日のコンサートどうだった?」


「は?」


「加地くんのヴィオラと香穂ちゃんのヴァイオリン」


「・・・まぁ悪くはなかったかな」


「そっか。じゃあ次のコンサートも一緒に聴きに行こうよ」


「は?まだあるわけ?」


「んー知らないけど、多分そんな気がする」


「・・・まぁ、暇だったら付き合ってやるよ。なんか、気になる音だったし」




そう、正直・・・あのヴァイオリン音は気になった。

単体のときとは比べ物にならないアンサンブルで奏でられた音色。

それに、葵サンも。

ヴァイオリンよりもよっぽどヴィオラが向いてる。

いい音奏でてたし。







「ん?」


「昼飯のあと、ちょっと付き合って欲しいんだけど」


「どこに?」


「いつものとこ。・・・ヴァイオリンが弾きたいんだ」


「ん、いーよ。私、桐也のヴァイオリンも好きだからね」










† アイツ色に染まる自分が心地よい †

(今日は俺のヴァイオリンが好きっていうアンタのために俺は弾くよ。)



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