† 魔法が解けるまで、貴方の傍に居てもいいですか? †
「おーホントに開いた」
この前、暁彦お兄ちゃんからもらったのは理事長室の鍵。
保健室のセンセに迷惑かけるな、ということで。
てか、暁彦お兄ちゃんには迷惑かけていいってことだよね!
「お邪魔しまーす」
うわぁー・・・なんていうか、相変わらず綺麗な部屋。
さすが吉羅サン。
綺麗好きだもんねー。
無駄とか嫌うタイプだし。
「てか、暁彦お兄ちゃんいないじゃーん」
一体どこ行ってるんだか。
結構色々散策してるもんねー構内を。
たまに、香穂ちゃんの演奏聴いてたりするし!
暁彦お兄ちゃんも、香穂ちゃんの音色、ちゃんとわかってるんだよね。
「あー眠い、なんだか眠い。寝ていいかな?寝ていいよね?うん、ここ理事長室だし、大丈夫」
◇◇◇
「全く・・・居座られたものだな」
ソファーにいつものように転がって眠っている彼女。
。
「くん」
「・・・・・・」
夢心地の彼女は身動きひとつしない。
・・・・・・全く、無防備なものだな。
「」
「・・・・・・ぅ・・・ん・・・」
懐かしい呼び名を呼べば、身動きがひとつ。
「、起きなさい」
「・・・・・・ぅーんーッッ寝てた、思いっきり寝てた」
「あぁ、よく眠っていた」
「あはっ勝手に寝させてもらってましたー」
「部屋のことなら気にしなくていい。鍵を渡したのは他でもない、私だからな」
「ありがと。なんか吉羅サン以前にもまして優しくなったよね」
「・・・昔はこうだったと思うが?」
「あ、うん。確かに、昔はね。吉羅サンって言うか暁彦お兄ちゃん」
「学院内では・・・」
「わかってまーす。てか、暁彦お兄ちゃんがって呼ぶからその反動なんだもん」
「・・・なるほどな」
「さぁーーて、授業でも行ってくるー」
「くん。学生の本分は勉学だ」
「わかってるもーん」
「だが、時には休息も必要だ」
「んー?」
「疲れたらいつでも来なさい」
「ありがと。暁彦お兄ちゃん」
全く・・・私も、彼女には甘いな。
仕方がない。
この少女は、素直にはなかなかなれないようだからな。
しかし、今、ここにいる時間が彼女を本当にさせるのであれば・・・私はいくらでも時間を割くとしよう。
「私、やっぱり暁彦お兄ちゃんのこと大好きだよー」
† 魔法が解けるまで、貴方の傍に居てもいいですか? †
(・・・だが、少々性質が悪くなっているな。)
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