† 木々の音が心地いい、風が吹く声が楽しい †
「先輩」
「おー桂ちゃんだーどーしたのー?」
「先輩が見えたから、来ました」
「うわっなんかそれはきゅんとしちゃうね」
「あ、これ、どうぞ」
「あっ飴ー!!!」
「先輩は何味が好きですか?」
「えっとねー・・・あ、ミルクがいいー!」
「はい、どうぞ」
「ありがとー」
「もっといりませんか?」
「いいの?」
「はい」
「じゃあイチゴと・・・あ、薄荷ももらっちゃっていい?」
「はい、もちろんです。もっとどうぞ」
もっと、もっと・・・全部。
全部、先輩にもらって欲しい。
「え?もっともらっていいの?」
「全部、先輩にあげたくて持ってきたんです」
先輩に笑って欲しくて。
先輩に喜んで欲しくて。
僕は、先輩の笑顔が好きだから。
「だから、もらってください」
「ありがとーっでも、一人で食べるのは勿体無いから香穂ちゃんにあげてもいい?」
「はい。日野先輩と一緒に食べてください」
先輩は本当にすごく日野先輩のことが好きだから。
もっと、もっと先輩には笑って欲しいから。
「ありがと。あ、桂ちゃんの分は?ちゃんとある?」
「あ・・・」
「ねっ桂ちゃん、一緒に食べよう?桂ちゃんと一緒に食べたいなー」
「はい、僕も先輩と一緒に・・・食べたいです」
「じゃあ決定だねーっさぁ桂ちゃんっ何味にする?」
「レモンがいいです」
「レモンねー・・・・はい、ってなんかおかしいね。私がもらった側なのに」
「おかしくなんてないです」
だって・・・僕は今、すごく嬉しい気持ちだから。
こんなにも、幸せだから・・・
あ、今音が・・・
「先輩」
「んー?」
「ちょっと時間をください」
「うん?」
「今、すごく綺麗なフレーズが聴こえたんです」
そう、まるで・・・
先輩が笑ってるような、そんな音が・・・
そんな、優しくて僕をあたたかい気持ちにしてくれる音が・・・
「だから、先輩。もうちょっとここにいてください」
きっと、先輩がいなくなってしまったらさっきの音は消えてしまうから。
絶対に、消したくないから・・・
「うん、いーよ」
「ありがとうございます、先輩」
「もしよかったら、書きとめたフレーズ私にも聴かせてね」
「もちろんです。先輩に聴いてもらいたいです」
僕を幸せにしてくれる音色は・・・
先輩から紡がれるものだから。
† 木々の音が心地いい、風が吹く声が楽しい †
(先輩、だからずっと傍にいてください。)
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