† 信じられない。けれど現実は絡みついて †
「痛い痛い。あー痛い」
見事にぱっくりと開いた傷。
流れる赤い血。
まぁ、私が悪いんだけど。
「とりあえずーーっうわぁ?!」
顔面衝突。
しかも相手は人間。
あーしかも結構微妙な人。
「大丈夫かね、くん」
「あーはい、どうも」
「そうか」
吉羅サンのカッターシャツには血がたっぷりって言うかべっちょり。
「あ、クリーニング代」
「いや、別に構わない」
「いや、構うでしょ」
この人ボケなの?!
カッターシャツに血はだいぶおかしいっていうか目立ってる。
いくら、吉羅サンのんのカッターがグレーでも目立つものは目立つ!
あー忘れてた。
血ってなかなか落ちない。
クリーニング代じゃ駄目じゃん。
「吉羅サン」
「何かね?」
「カッターシャツ代に変更です」
「いや、必要ない」
「ありますって」
あ、黙っちゃった。
よし、もう一押し。
「今日、帰りに付き合ってください」
の系列店にスーツのお店もあったし。
そこなら吉羅サンと私が一緒にいても何も言われないし、思われない。
「安心して下さいーの系列の店なんで、私と吉羅サンが一緒でも問題無しです」
吉羅サン、絶対に私の苗字からあのの娘ってことわかってるだろうし。
うん、色々と安心だよね。
「くん」
「なんですか?」
「帰りのことはわかった、その代わり・・・私にも付き合ってもらおう」
「はい?」
「保健室だ」
「あー忘れてた」
血がべっちょりすぎたから。
頭の中でどう吉羅サンを説得するか必死だったんだもん!!
「あれ?ちゃん?」
「あ!王崎先輩ー!」
「吉羅さんも一緒だったんですね」
「うん、私がぶつかって血がべっちょり」
「今から保健室に連れて行こうとしているところだ」
「保健室嫌いなのに連れて行かれるんですー」
「あー・・・うーんー・・・とりあえず、先に傷口を洗いに行こうね」
「え?」
「俺、絆創膏持ってるからあげるよ」
「やったーこれで保健室行かなくてすむー」
「王崎くん。くんのことは任せても構わないかね?」
「あ、はい」
「吉羅サン、色々ありがとーございました。帰り、忘れないで下さいねー?」
「・・・わかっている」
よし、わかってるって言ってくれたし一安心!
理事長室に襲撃に行けばいいよねー。
「じゃあちゃん。傷口洗いに行こうか」
「はーい」
† 信じられない。けれど現実は絡みついて †
(てか、よくよく考えらた・・・吉羅サン、帰りまで血がべっちょりのカッターシャツ着たままじゃん!!)
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