† 光は闇に染まりやすく闇は光に消されやすい †













「あー柚木サン」




誰かに後ろから声かけられたなぁーって思って振り向いてみたら・・・

柚木サンがいた。

正確には車の中で優雅にしてる柚木サンがいた。




「・・・一人で帰る気?」


「あー・・・はい、なんかそうなっちゃった」




香穂ちゃんは火原先輩と帰ることに私が決定してきたし。

二人とも心配性なんだからー。

折角二人で帰れるんだから二人で帰らなきゃもったいないー。

もっとも、私にとって二人の気遣いは嬉しいものなんだけど。




「ほら、乗って」


「え?」


「送ってやるから」


「・・・柚木サンが?」


「そう、俺が」


「わーい」




柚木サン車だし。

=私、楽だし。




「あ、そーだ。柚木サンー音楽の宿題答えてー」


「・・・そこは普通、教えて下さい、だろ?」


「いーの、答えてー」




だって、考えてもなかなかわかんないし。

結局いつも柚木サンとか梁ちゃんに答えてもらうことになってるし。

なんだかんだ言って柚木サンも優しいし。




「はぁ・・・」


「柚木サン、最近溜め息多いー」


「お前のせい」


「私、何もしてないしー」


「はぁ・・・」


「むぅ」




最近柚木サンなんか変。

まぁ私の気のせいかもしれないけど。

でも、なんか変。




「・・・音楽の宿題、俺の家でやるか?」


「紅茶出てくる?」


「あぁ。昨日アールグレイの茶葉を仕入れたからな」


「じゃー柚木サンの家」




柚木サンが家で出してくれる紅茶って茶葉から淹れてくれるんだよねー。

しかも、目の前で柚木サンが。

あれ、好き。

なんだかお得感たっぷりで。

柚木サンにお茶淹れさせるなんて柚木様親衛隊が知ったら殺されそうだけど・・・!!!




「そういえば、雅がお前に逢いたがってたよ」


「雅ちゃんが?!なんか嬉しいなー」


「最近、全然逢ってないって嘆いてたからね」


「そういえば、逢ってないなぁー」


「家で宿題する気なんだったら雅に逢ってやって」


「いいの?雅ちゃんの都合とかー」


「大丈夫だろ、多分ね」


「んーじゃあその柚木サンの言葉が多分じゃなかったら是非逢わせて」




雅ちゃん可愛いんだよねぇー。

美少女美少女。

さっすが柚木遺伝子だよねー!




「・・・・・・お前さ」


「ん?」


「・・・やっぱりいい」


「柚木サンー最近そんなの多いよー」


「気のせいだろ、お前の」


「そうなのかなぁー・・・」




















◇◇◇




















「あれ?さんいないなぁ・・・」


「加地くん?」


「あ、天羽さん。さん知らない?」


ならさっき帰って行くの見たよ。柚木さんの車に乗せられて」




まぁ、窓から見てたんだけどね。

あれは間違いなく柚木さんだし。




「え?!」




目の前でいきなり携帯を取り出し電話をかけ出す加地くん。

多分って言うか、絶対相手はだね。




「あ、もしもし?さん?」




やっぱり。

予感的中。




「今どこ?!」


「んー?柚木サンの車の中ー」


「・・・・・・」


「加地くんー?」




加地くんはなんだか思案中。

や、思案してるのは良いけど・・・

喋ってあげないとが不安になりそうなんだけど!




「ねぇ、さん」


「んー?」


「音楽の宿題、一緒にやらない?」


「今から柚木サンの家で柚木サンに答えてもらうよー」


「え?柚木さんの家で?」


「うんー柚木サンの家ー紅茶飲むのー」


「・・・・・・ねぇ、さん」


「ん?」


「ちょっと柚木さんに代わってもらえる?」




加地くん、まさか喧嘩売る気?!

しかも、あの、柚木さんに。




「ん、いーよー。はい、柚木サン」


「あ、加地です」


「どうしたの?加地くん」


「えっと、僕もさんと一緒に宿題やりたいんですけど」




うわっ直球ストレート。

柚木さんどう出る?!




「加地くんはまだ学校だよね?」


「あ、はい」


「今からじゃ遅くなってしまうんじゃない?」


「大丈夫です、車呼びましたから」




車って、いつの間に・・・?!

あ、加地くんの手には携帯がもう一つ・・・

なるほど、柚木さんと話しながらもう一つの携帯で車を呼んだ模様。




「そう・・・わかったよ、僕の家はわかる?」


「はい、大丈夫です」


「じゃあ待っててあげるよ」


「ありがとうございます!」




勝者=加地くんとみた!




「じゃあ、に代わるね」


「もしもしー加地くん?」


「柚木さん、僕も一緒に宿題していいって言ってくれたよ」


「うん、聞いてたー」


「あ、そうだ。さん、何か欲しいものある?」


「ヴィオラー」


「え?」


「加地くんのヴィオラ聴きたい。柚木サンのフルートとのあわせ技でー」


さんに言われたら断れないなぁ・・・でも、柚木さんに聴いてからね?」


「うん。一緒に柚木サンにお願いしようねー」


「そうだね。あ、さん一度切るね」


「んーあとでねー」




あ、電話終わったみたい。




捕まった?」


「うん、ありがとうね。天羽さん」


「いえいえー今度インタビューさせてよね、について!」


「喜んで!じゃあ僕行くから!」










† 光は闇に染まりやすく闇は光に消されやすい †

(加地くんもなかなか強敵だよねぇ・・・あの柚木サンに勝てるなんてね!)



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