† 私は、私が傷つくことが幸せなの。邪魔しないで †










「あ、そっかー」




わかった、眠いわけ。

すごい眠いなーって思うようになったのはきっと・・・

私が悪い子だから。




「何もしなかったら簡単に治っちゃうんだねー」




傷が完全に塞がった指。




「うぅー・・・久しぶりだとちょっと痛いねー」




少しずつ傷が広がっていく指。

傷つけた場所から徐々に赤いものが広がっていく。

私の赤い血。




「これで眠いの大丈夫になるよね」




きっと大丈夫。

もう、あんなにいっぱい寝なくても大丈夫になる。

授業中に寝ちゃってまた紘センセに怒られるの嫌だし。




さん!!」


「ん?」


「・・・・・・っ!」


「加地くん?どうしたの?」




どうして、悲しそうな顔、するの?




「私、悪いことした?」


さん・・・」


「加地くん?」


「・・・どうして?」


「え?」


「どうして、また自分を傷つけるの?」


「私が悪い子だから」


「・・・・・・っ」


「悪い子だから、傷つけるの。悪い子だから、眠いの」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


さん、君は悪い子じゃないよ」


「んーん。悪い子なの」


「・・・それは、どうして?」


「だって、毎日眠いんだもん」




本当に毎日、眠い。

授業中も、そうじゃなくても・・・

すごく眠い。

毎日しっかり夜にも寝てるのに。




さん・・・」


「眠いのヤダ」


「・・・・・・」


「傷つけたらきっと大丈夫なの、もう眠くならないの」


さん、聴いて」


「ヤダ」


さん・・・!」


「ヤダ。ヤダって言ったらヤダ!」


「・・・・・・」


「ヤダ!嫌なの!ヤダ!」


さん・・・」




悲しそうな顔しないで。

加地くんの悲しそうな顔、見たくない。




「ヤダ、ヤダ、ヤダ・・・!!」


さん、聴いて」


「嫌!」




困った顔しないで。




「嫌なの!」


さん」


「私のことなんてもう放っておいてよ・・・!!」


さん・・・!」


「加地くんなんて嫌い、大っ嫌い!!」


さん!!!」




逃げ出した。

私は、弱いから。

私は、悪い子だから。

加地くんの顔、見れなくなったから。

悲しそうな顔も。

困った顔も。

見たくない。

だから、私は逃げた。

ごめんね、加地くん。




さん・・・・・・」










† 私は、私が傷つくことが幸せなの。邪魔しないで †

(ごめんなさい。)



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