† 何故、血は紅いのだろう? †










「うわっ」


「あぅっ」


「ご、ごめん!大丈夫?!」


「え、あ・・・うん、ありがと。あ、加地くんだーおはよー」


「おはよう、さん」




お手をどうぞ、と言えば笑って手を重ねてくれる。




「あぁ!!服っ血が!!」


「え?」


「ごめん、服に血、つけちゃったみたい・・・!」


「血?」


「ごめんね、クリーニング!・・・より、まず洗わなきゃ!ちょっと来て!」


「うわっ」




突然、手を曳かれて思わず声をあげてしまう。




「血って落ちないの!だから、急いでーー!!!加地くん急いでー!!!」


「別にいいよ。大して目立たないし」


「ダメー!絶対ダメだよー!!」


「大丈夫大丈夫」




本当にたいして目立たないし。

・・・それより、気になるのはさんの傷のほう。




「それより・・・まず、消毒しに行こう?」


「いやー」




うん、言うと思った。

消毒液とか沁みるから嫌いなんだよね。




「だーめ」


「むぅー」


「保健室、行こう?」


「行かない!」


「じゃあ・・・せめて絆創膏巻かせてね?」


「・・・・・・それなら・・・あぁーーー!!!」


「ん?どうしたの?」


「加地くんの服!血、変色し始めてる・・・!あぁーーーどうしようどうしよう」


「うん、大丈夫だよ」


「大丈夫じゃなーい!!!どうしよどうしよっあ、購買行ったら売ってるかな?」


さん、大丈夫だから」




なんか・・・可愛いな・・・さん。

動きちょこまかしてるし、パニックになってるし。

いっぱいいっぱいなのがすごく可愛い。




「服の代えは家にあるし、気にしないで?」


「で、でもっほら!色々と!」


「大丈夫大丈夫」




なんか前にもこんな光景になったなぁ・・・




「加地くんー!!!ホント、血って落ちないんだよー!知ってるでしょー」


「うん、知ってるよ」


「じゃあさーもうちょっと困ってよー」


「うん、困ってるよ。すごく」


「え?」


「だって、さんパニックになっちゃって絆創膏巻かせてくれないし」




もう、巻く用意は出来てるんだけどな。




「・・・・・・がぅ」


さん、それ可愛いね」




小動物みたいで。

さんって小さくて目がくりっとしてて本当に可愛い小動物みたいだよね。




「後ね、さん。本当に気にしなくて大丈夫だよ?」


「でもー」


「うーん・・・あ、じゃあ今日一緒に帰ろう?」


「え?」


「僕の買い物に付き合ってくれないかな?」


「う、うん!わかったー!」


「ありがとう」


「・・・?」


「あ、梁ちゃんーちょうどいいところに!」


「どうした?」


「梁ちゃーんっ、私、やっちゃったー!!!」


「はぁ?」


「加地くんの服に血をどばっと」


「いや、そんなにどばっとではないから。それにもう気にしなくていいって言ったでしょ?」




寧ろ、全然ないに等しい。

ちょっとかすっちゃっただけだし。

でも・・・どばっとってなんか可愛いな・・・




「・・・加地、悪いな」


「ううん、大丈夫だよ。それよりも・・・本当に仲良いよね、さんと土浦って」


「まぁ幼馴染だしな」


「そーだよー!いっつも梁ちゃんと同じご飯食べてるのにこの身長差はどういうつもりだと思う?!」


「食べてる量が違うだろ、量が。それに、牛乳嫌いだし」


「ミルクティーは飲むもん!ロイヤルミルクティー!」


さんと土浦ってずっと学校とかも一緒なの?」


「んーん。学校は星奏が初めて一緒ー」


「コイツこう見えてお嬢様なんだよ」


「こー見えては余計ですー」


「そういえば、土浦と幼馴染ってことはさんもピアノ弾くの?」




土浦の家ってピアノ教室らしいし。

幼馴染でずっと一緒だったらさんもピアノとか弾いてそうなイメージ。




「あ。私、音楽苦手なのー。楽器はおろか、音符すら読めませーん」


「え?」


「ドレミはわかるよ!でも、音楽の宿題は今までずっと梁ちゃんに押し付けてまーす」


「なんか意外だね」




ピアノとかすごく似合いそうなのに。

それに・・・さんが奏でる音が聴いてみたい。

きっとその音は僕を幸せにしてくれるだろうから。




「あのね、梁ちゃんの指は魔法の指なの。私には無理ー」


「褒めても何も出ないぞ」


「あはっパックのジュースくらい期待してたのにー」


「コラ」


「あぅっ痛いー」


「大袈裟」


「ひーどーいー。加地くんからもなんか言ってやってよー!」


「え?僕が?」


「うん。是非!一言ガツンと!!」


「土浦はさんのこととても大事に想ってるんだね」




初めてさんと土浦が喋ってるの見た時からずっと思ってた。

本当に大切に、大事に想ってるんだなって。




「・・・まぁ幼馴染だしな。いつも面倒かけさせられてきたし」


「はーい、いつも面倒かけてまーす!」


「・・・・・・そういや、加地に血、つけたって言ったよな?」


「い、言ってない!!」





「がぅー」


「また指か?」


「ん。さっき加地くんにバンソーコ巻いてもらったー」










† 何故、血は紅いのだろう? †

(でも、土浦にも負けられないな。・・・僕も本気だから。)



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